2025年6月2日公開
最終更新日:2025年6月2日
投稿者:9Eキャリアインサイドセールス編集部

インサイドセールスの戦略の立て方を解説! 具体例や組織体制、戦略を決める際のポイントとは?

インサイドセールスとは、非対面やオンラインの営業活動で商談および受注を獲得する手法です。インサイドセールスを実行する際は、一貫した戦略が欠かせません。一貫した戦略があれば、施策の方向性がぶれず期待した成果を得やすくなるでしょう。この記事では、インサイドセールスの戦略について、2025年最新の解説をお届けします。

 

インサイドセールスの戦略の立て方

スケジュール帳とボールペン

インサイドセールスの戦略を立てる際は、次の順番で進めましょう。

 

1.インサイドセールスの対象となる商材を選ぶ

はじめに、インサイドセールスで取り扱う商材を決めます。自社の商材が多いからといって、はじめからすべての商材を扱うことはおすすめできません。インサイドセールスの対応範囲が広くなりすぎるため、人材や予算などのリソース不足に陥りやすくなります。とりわけ、インサイドセールスの立ち上げ当初は各商材に割り当てられるリソースが少ないケースが多いでしょう。インサイドセールスによる利益を最大化しづらくなるため、商材を絞ってスタートすることを検討してみてください。

 

2.インサイドセールスの業務範囲を決める

次に、インサイドセールスが担当する業務範囲を明確にします。インサイドセールスは営業活動の一環であるため、同じく営業プロセスに関わるマーケティングやフィールドセールスの業務と線引きする必要があります。基本的な営業プロセスを次のように分解して、インサイドセールスの領域を決めましょう。

 

・リード獲得

・リード育成

・リード選別

・商談獲得

・商談(ヒアリング・提案)

・クロージングおよび受注

・アフターフォロー(顧客維持)

 

一般的なインサイドセールスは、リード育成から商談獲得までを担当します。自社の特性に合わせて、インサイドセールスの業務範囲を決定しましょう。

 

3.インサイドセールスの戦略の方向性を定める

最後に、インサイドセールスの戦略を「アンゾフの成長マトリクス」を使って構築します。アンゾフの成長マトリクスとは、事業の成長戦略を4つのパターンに当てはめて策定するフレームワークです。縦軸に「市場」横軸に「製品」を置き、それぞれ「既存」と「新規」の2つの区分で分け、以下の4象限から成長戦略を考案します。

 

・市場浸透戦略:既存市場×既存製品

・新市場開拓戦略:新規市場×既存製品

・新製品開発戦略:既存市場×新規製品

・多角化戦略:新規市場×新規製品

 

アンゾフの成長マトリクスを活用することで、商材ごとのインサイドセールスの戦略を効率的に検討できます。詳しくは、次の章で解説します。

 

インサイドセールスの戦略の具体例

円グラフや棒グラフを表示するウィンドウ

アンゾフの成長マトリクスでは、4つの戦略パターンが生まれます。インサイドセールスの戦略に当てはめて、それぞれの具体的な特徴を見ていきましょう。

 

市場浸透戦略

市場浸透戦略とは、既存市場×既存製品の組み合わせによる戦略です。既存のターゲット層へ提供している既存製品について戦略を考案して、さらなるシェア拡大を狙います。インサイドセールスは、既存顧客および新規リードへの情報発信によって購買意欲を促進させる役割です。ターゲットの受注確度を高めて、商談の創出を担います。

 

また、既存顧客には上位価格の商材へ切り替える「アップセル」や、関連商材を追加購入してもらう「クロスセル」により顧客単価を向上させます。こうした戦略でリピーターや新規顧客を増やすことで、既存事業の利益拡大が可能です。なお、アップセル・クロスセルは、カスタマーサクセスが担当するケースもあります。

 

新市場開拓戦略

新市場開拓戦略とは、新規市場×既存製品による戦略です。これまで売り込んでいなかった新たなターゲット層へ既存製品をアプローチして、事業拡大を目指します。インサイドセールスは、既存顧客にて成功したリード育成方針やコンテンツを活用して、新規ターゲット層への効果検証と改善を繰り返して市場への理解を深めます。

 

BtoBビジネスの新市場開拓戦略は、ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)と相性が良いでしょう。ABMとは、ターゲット企業ごとに最適化したアプローチ方法で接触する手法です。不特定多数のリードではなく、特定のターゲットへの施策にインサイドセールスのリソースを集中させられます。

 

新製品開発戦略

新製品開発戦略とは、既存市場×新規製品で行う戦略です。既存のターゲット層に向けて、新たな商材を提供します。インサイドセールスは既存顧客のニーズを深掘りして、自社製品への要望や新たに発生している課題などの情報をヒアリングします。さらに、新製品の情報をメルマガ(メールマガジン)やWebサイトで扱ったり、新製品の使い方がわかるセミナーを開催したりといった活動も必要です。

 

既存市場へ新製品を投入するため、競合他社との差別化がとりわけ重要になります。丁寧なヒアリングによる顕在ニーズの把握はもちろんのこと、顧客自身が言語化できていない潜在ニーズの調査も大切です。また、BtoBビジネスであれば、新製品開発戦略もABMが向いています。

 

多角化戦略

多角化戦略とは、新規市場×新規製品に取り組む戦略です。新たなターゲット層へ新たな製品を提供するため、インサイドセールスだけでなく組織全体で高いコストが発生します。一方で、成功すれば新たなビジネスモデルを確立できることから、メリット・デメリットともに大きい戦略と言えます。

 

多角化戦略においては、新規ターゲット層に関する仮説検証がより一層大事になるでしょう。新規ターゲット層の情報を収集して、ビジネス上の課題やニーズの仮説を立てる必要があります。仮説にもとづいてアプローチを展開して、リードからの反応を仮説に反映させましょう。なお、新規市場における認知獲得はマーケティングが行いますが、インサイドセールスが担当する場合もあります。

 

インサイドセールスの戦略で重要な組織体制

デスク越しに拳を付き合わせる人々

インサイドセールスの戦略を実行するためには、組織作りが必須です。インサイドセールスの業務範囲を明確にする際に、組織体制も決めましょう。インサイドセールスの組織体制は、主に次の4つのパターンがあります。

 

リード発掘型

リード発掘型は、インサイドセールスがリード獲得を担当する体制です。セミナーの開催、展示会の参加、架電、メール、Webサイトの運営など、将来的に受注の見込みがある潜在顧客を獲得します。架電やメールで潜在顧客とコミュニケーションを取って、リード化していきます。一般的にリード獲得はマーケティングが行いますが、マーケティング担当者が少ない場合に効果的な運用方法です。また、既存のリードが少ない場合にもおすすめできます。

 

リード育成型

リード育成型は、マーケティングが獲得したリードをインサイドセールスが育成します「分業型」とも呼ばれ、インサイドセールスの基本的な形態です。リード育成がメインの業務となり、商談の獲得までがインサイドセールスの業務になります。メルマガ(メールマガジン)でリードにとって役に立つコンテンツを配信したり、電話やWeb会議ツールによるヒアリングを行ったりしてリードの受注確度を高めていきます。

 

営業クローズ特化型

営業クローズ特化型とは、インサイドセールスが商談およびクロージングをメインに担当する体制です。すでに受注確度が高いリードに対して、商談のなかで自社商材によるリードの課題解決を提案して、受注へ導きます。高単価な商材を扱っている会社におすすめの体制です。あるいは、リード獲得からクロージングまですべて担当する体制を差すケースもあります。その場合は「独立型」とも言われ、受注までWebで完結する商材や低単価な商材に向いています。

 

フィールドセールス協業型

フィールドセールス協業型とは、名前の通りインサイドセールスとフィールドセールスが協業する体制です。インサイドセールスがリード育成から商談獲得までを行い、フィールドセールスが商談からクロージングを行う形式が基本です。ここまではリード育成型(分業型)と同じですが、商談後に受注しなかったリードへの対応が異なります。フィールドセールス協業型の場合、受注しなかったリードは再びインサイドセールスに戻して、再度ヒアリングやリード育成を重ねます。受注確度が高まったら、改めてフィールドセールスへパスする仕組みです。フィールドセールス協業型も、インサイドセールスの組織体制として広く採用されています。

 

インサイドセールスの戦略を決める際のポイント

サムズアップのジェスチャーをする人

インサイドセールスの戦略を決める際は、以下5つのポイントに着目しましょう。

 

ターゲット層への理解を深める

インサイドセールスの戦略は、ターゲット層への理解が重要です。製品・サービスごとのターゲット層や、獲得済みのリードの特性を詳しく分析しましょう。さらに、製品・サービスの強みや弱み、競合他社との違いの可視化も大切です。製品・サービスの独自性とターゲット層の特性を明らかにすることで、「どのような部分を訴求するべきか」「ターゲット層が抱えている課題は何か」と最適な戦略の方針を決められます。また、ターゲット層の検討段階に応じて、提供するべき情報やコンテンツの方向性も具体化できます。

 

目標を明確にする

インサイドセールス戦略の根拠として、明確な目標設定が必要です。どういった目的を持ってインサイドセールスに取り組むのか、きちんと設定しましょう。ビジネスにおける最終目標としてのKGI(重要目標達成指標)があれば、一貫した方向性のもとに戦略を決定できます。加えて、KGIを達成するための中間的な目標として、KPI(重要業績評価指標)も決めましょう。はっきりとした目標があると、インサイドセールスがむやみにテレアポを繰り返したり、メンバーのモチベーションが下がったりするなどの迷走を避けられます。

 

マーケティング・フィールドセールスと連携する

インサイドセールスの業務は、マーケティングおよびフィールドセールスと深く関わるため連携の強化が不可欠です。営業プロセスは大きく分けて、マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールスと流れていきます。3つの部署で顧客情報や対応履歴、リードからのフィードバックを共有することで、リード育成の短期化や受注率の向上といった効果が見込めるでしょう。インサイドセールスの戦略を決める際は、部門間で顧客情報の一元管理や相談を行える体制作りも意識してみてください。

 

ツールを組み込む

インサイドセールスの戦略に応じて、必要なツールがあれば導入を検討しましょう。たとえば、マーケティングやフィールドセールとともに顧客情報を統合して管理できるツールがおすすめです。具体的には、マーケティング活動の自動化が得意な「MA(マーケティングオートメーション)」や営業活動の支援に特化した「SFA(営業支援システム)」が

あります。そのほか、顧客の分析や対応履歴を管理する「CRM(顧客関係管理)」も役立ちます。いずれも部門間で顧客情報の共有が可能なため、インサイドセールスの業務効率化が可能です。

 

フィジビリティ(実現可能性)を検証する

インサイドセールスの戦略を考えるうえで、フィジビリティ(実現可能性)の検証も欠かせません。予算や人員などの経営資源、競合他社の存在、市場動向、ターゲット層のニーズなど、あらゆる要素からインサイドセールスの戦略が実現可能かを検証します。インサイドセールスを行うなかで想定される課題や、その解決方法もまとめましょう。また、フィジビリティの検証結果は、インサイドセールスを行う根拠としても活用できます。社内関係者への説明資料となるため、予算や人員を確保しやすくなるでしょう。

 

インサイドセールスの戦略を実現する施策

デスクでPCを操作する人

インサイドセールスの戦略を決めたあとは、具体的な施策を打ち立てて実行する必要があります。インサイドセールスの施策の主なカテゴリは、次の一覧の通りです。

 

・リードナーチャリングの施策

・リードクオリフィケーションの施策

・商談を増やすための施策

・受注率を向上させるための施策

・生産性をアップさせるための施策

 

たとえば、リードナーチャリングであれば、メールやセミナーなどの手法でリードの購買意欲を醸成して、商談へとつなげます。リードクオリフィケーションの段階では、リードのスコアリングやシナリオ設計が必要です。なお、インサイドセールスの組織体制によっては、リード獲得の施策を行う場合もあります。

 

▼インサイドセールスの詳しい施策は、以下の記事をご覧ください。

インサイドセールスの施策とは? リードナーチャリングや商談数増加の具体的な手法、成功のポイントを紹介

 

インサイドセールスと相性が良いビジネス

抽象化されたビル郡やインターネットのイメージ

インサイドセールスの戦略を考えるうえで、自社のビジネスとの相性を考えることも大切です。インサイドセールスと相性が良い3つのビジネスと、具体的な理由を説明します。

 

サブスクリプション型の商材

サブスクリプション型の料金体系は、ユーザーにとって比較的簡単に解約できるシステムです。つまり、サブスクリプション型の商材であれば、買い切り型の商材よりも購買のハードルが低いと言えます。サブスクリプション型サービスは、リード獲得から成約までの流れがオンラインで完結するケースが珍しくありません。したがって、インサイドセールスによるWeb上の営業活動のみでも、受注へと導きやすいでしょう。

 

リードタイムが長い商材

受注までのリードタイム(検討期間)が長い商材は、インサイドセールスに向いています。具体的には、初めて導入するITシステムや高額な製品はリードタイムが長い傾向があります。インサイドセールスは、リード育成を中心に行う立場です。しっかりとリードの課題をヒアリングして、購買意欲を高めていくことで受注率を高められます。

 

ターゲット層が多い商材

ターゲット層が多い商材の場合、少人数のインサイドセールスでも多くの人へ効率的にアプローチできます。インサイドセールスは電話やメールによる営業活動がメインであるため、地理的な距離による制約がありません。移動時間も発生しないため、訪問営業よりも効率的なアプローチが可能です。

 

インサイドセールスの戦略を成功させるための人材育成方法

ノートに書き込んで勉強する人

インサイドセールスの戦略や施策を講じても、優れた人材が足りなければ成功は難しくなるでしょう。インサイドセールスの戦略を成功させるためには、以下4つの人材育成方法を参考にしてみてください。

 

幅広い知識を身につけさせる

インサイドセールスのメンバーには、幅広い知識が必要です。自社商材の特徴だけでなく、リードの業界や業務への知識も求められます。リードごとの詳しい状況を把握することで、課題や悩みに対する的確な提案を実現できます。自社商材を使ってリードの課題をどのように解決できるのかを明確に示すことで、商談の獲得数を増やせるでしょう。

 

トークスクリプトを充実させる

インサイドセールスのメンバー全体のスキルを上げるためには、リードと会話する際に用いるトークスクリプトの作成も重要です。トークスクリプトが充実していれば、対話スキルの属人化の防止にもなります。加えて、リードの特性だけでなく、行動によってもトークスクリプトをカスタマイズしましょう。たとえば、DX化をテーマにしたセミナーの参加者であれば、DX化に関するトークを用意します。また、トークの分岐を設けたり、すばやく索引できる目次を設置したりして、現場で使いやすい工夫も大事です。

 

ロープレの質を高める

ベテラン社員が新人社員に対して行うロープレ(ロールプレイング)の質を高めましょう。メンバーの習熟度別にロープレを用意すれば、段階的にスキルを向上させられます。さらに、本番に近い環境での実施も大切です。電話のロープレを行う場合、お互いの顔が見えない状態で行うと本番でもスムーズにトークを展開できます。ロープレの良かったポイントや改善点を伝えることで、メンバーのスキルを的確に伸ばせるでしょう。

 

研修を実施する

必要に応じて、インサイドセールスの研修を実施しましょう。インサイドセールスの目的やターゲットの定義、ヒアリング項目といった基礎知識や、顧客への対応方法、自社商材への専門知識など、幅広い内容を研修で学習させます。リソースやノウハウが少なく社内研修が難しい場合、外部へ依頼して社外研修を行いましょう。

 

顧客のニーズに合わせてインサイドセールスの戦略を立てよう

インサイドセールスの戦略を立てる際は、顧客のニーズの把握が大切です。アンゾフの成長マトリクスでどういった成長戦略を採用するかを決めて、具体的な戦略を練っていきましょう。また、リード育成型やフィールドセールス協業型など、自社に合うインサイドセールスの体制作りも不可欠です。戦略を実現するための体制や人材を整えて、インサイドセールスを成功させましょう。

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