2025年6月3日公開
最終更新日:2025年6月3日
投稿者:9Eキャリアインサイドセールス編集部

インサイドセールスが営業プロセスで果たす役割とは? その導入と業務プロセスのポイントを踏まえて解説!

インサイドセールスは分業化した営業プロセスにおいて、リードとの初回接触や信頼関係構築を通じたリードナーチャリングを受け持つ重要なポジションです。個々の役割や動きは企業やプロジェクトによって異なります。この記事では、インサイドセールスの導入プロセスや業務プロセスのポイントを中心に解説し、役立つITツールについても紹介します。見出しを目次に見立てて参考になさってください。

 

インサイドセールスと営業プロセスの分業化

役割分担と書かれた黒板から矢印7つ

 

インサイドセールスは営業プロセスの分業化にあたっては、営業部門の初動から商談直前までを担う職種であり仕事です。

 

営業レベルを向上させるプロセスの分業化

営業プロセスの分業化は、営業レベルの向上につながる取り組みです。インサイドセールスも分業化によってレベルの向上が見られます。

 

かつて営業といえば、顧客のターゲティングから初回接触、訪問活動、クロージング、さらにはアフターフォローまで1人の担当者が行っていました。しかし、営業活動の効率化を図る企業においては、その一部を分離するなどしています。たとえば、営業マンをアポ取り要員とクロージング要員に分ける取り組みです。また、営業マンには直接的な営業活動である数字を上げることに専念させ、付随事務やフォローその他の雑務をさせないといった仕組みもあります。

 

しかし、こうした取り組みや仕組みは、営業マンの受注活動にフォーカスしたものであり、営業活動のすべてのフェーズを合理的に分業化したものとはいえないでしょう。近年注目されている分業化は、株式会社セールスフォース・ジャパンの「The Model」と呼ばれている営業のプロセスモデルです。このモデルを採用する企業が増えていますが、細部では各社独自のアレンジが施されるケースが少なくないと見られています。

 

The Modelでは営業プロセスがマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4つのフェーズに分業化されることにより、それぞれのフェーズが専門性を深め、より高度な営業活動が可能になります。各フェーズの情報は可視化して共有され、4つの担当者は連携を強化し生産性(売上・利益)の最大化を目指します。営業プロセスの分業化では、スーパーセールスを輩出しやすい営業活動の属人化は排除の対象です。

インサイドセールスは別途解説するとして、他の3つのフェーズそれぞれの役割は一般的に以下のとおりです。

  • マーケティング:リードジェネレーションと呼ばれるリード(見込み客)集め、リード獲得を主な任務としています。オウンドメディアやメルマガなどのオンライン施策とセミナーや展示会などのオフライン施策を実施し、MQLと呼ばれる自社や自社の商品・サービスに興味を示すリードを獲得し、必要に応じてナーチャリング(育成)してインサイドセールスに引き継ぐことが大きな役割です。
  • フィールドセールス:一般にイメージする営業職に最も近いフェーズがフィールドセールスです。インサイドセールスから引き継いだリードを訪問し商談、クロージングに持ち込みます。成約して売上数字を直接的に作ることがフィールドセールスの大きな役割です。4つの営業プロセスにおいて、マーケティングはセミナーや展示会で顧客と対面する機会があるものの、フィールドセールスは顧客と深いレベルで対面する唯一の存在となっています。商談の過程で得た情報は必要に応じて他の担当者にフィードバックを行います。
  • カスタマーサクセス:成約した顧客が自社の商品やサービスを円滑に導入するための支援や、活用するための支援を行うサポート担当がカスタマーサクセスの主な業務内容です。サポートを通じて顧客の成功体験を実現し、顧客満足度の向上に努めます。アップセル(上位商材の販売)やクロスセル(関連商材の販売)も任務に含まれています。

 

内勤でリード対応を行うインサイドセールス

インサイドセールスは外出しない内勤の営業職として働きます。オフィスやリモートワークの拠点から、電話やメール、Web会議ツールなどのコミュニケーションツールを駆使してリードにアプローチするため、ITが苦手な人には難しいかもしれません。顔の見えない相手との信頼関係構築が使命でもあり、また業務が多くマルチタスクを求められるためハードな仕事だといえるでしょう。その分だけやりがいも大きいといわれています。

 

インサイドセールスが良好な関係を築き、優良なリードに育てれば育てるほど、フィールドセールスの商談、クロージングが楽になります。よい影響はフィールドセールスから引き継ぐカスタマーサクセスにも及ぶでしょう。

 

分業化しない営業現場のインサイドセールス

ガッツポーズのビジネスパーソン

インサイドセールスが担う業務の範囲は企業によって異なります。そのため、他の担当者の業務範囲にも若干の差異があるようです。

 

また、インサイドセールスは分業化された営業プロセスだけに存在するわけではありません。企業やプロジェクトによっては分業化しない営業現場にもインサイドセールスが存在します。たとえば、営業活動のすべてのフェーズでリードと対面する必要がない事業や商材を扱う現場です。代表例がSaaSなどのサブスクリプションサービスで、認知、商材の検討や相談、申し込み、契約、運用、サポートのすべてがオンラインで完結します。そのため、多くのケースで契約までがインサイドセールスの役割です。

 

インサイドセールスの導入プロセス・フロー

STEP123と書かれた付箋とキーボード

企業がインサイドセールスを導入する際の一般的なプロセス、フローを解説します。

 

インサイドセールス導入目的の明確化

自社の現状と課題、目指す将来像なども含め、インサイドセールスを導入する目的・理由をスケジュールとともに明確にすることが第一歩です。

まず、インサイドセールスに何を期待するのか、その職務内容は何かを決める必要があります。ここで注意したいのが、インサイドセールスは必ずしも全社統一とする必要はない点です。たとえば、プロジェクトごとに中身が大きく異なるため、インサイドセールスを導入するプロジェクトと導入しないプロジェクトがあっても構いません。また、プロジェクトが違えば、インサイドセールスの導入目的、役割が違うこともあり得ます。

 

インサイドセールスが分担する業務範囲の決定

一般的な営業プロセスの分業化におけるインサイドセールスの業務範囲といえば、マーケティングからの引き継ぎや、新規開拓したリードをナーチャリングする仕事だと述べましたが、リードの獲得については新規開拓のみだったり、新規開拓はしなかったりといった形での導入も可能です。

 

さらに、企業によっては既存顧客との関係性強化をインサイドセールスの業務範囲としているケースがあります。この場合、カスタマーサクセスを置いていないことが考えられます。マーケティング部門がない場合は、リードジェネレーションからが、インサイドセールスの業務範囲となるでしょう。

 

整理すると、営業プロセスが4つに分業化されていれば、リードナーチャリングがメインで、フィールドセールスに引き継ぐリードの選定を行うリードクオリフィケーションまでがインサイドセールスの業務範囲として考えられます。マーケティングがない3つの分業化であれば、リードジェネレーションが加わり、カスタマーサクセスがない3つの分業化なら顧客の成功体験の実現が加わるわけです。この両方が加わると、フィールドセールス以外の営業プロセスのすべてがインサイドセールスの業務範囲になってしまいます。

 

分業化における役割分担の境界線の策定も重要課題です。言葉で説明すると単純に分かれていそうですが、実務ではどちらの業務範囲なのか、あるいは双方の業務範囲なのかといった疑問が生じ得ます。双方が実施する場合は無駄が出ますが、どちらもやらないといったケースでは、大きな問題になりかねません。境界の線引きはしっかりと行う必要があります。

 

人員の配置

導入の目的と業務範囲が明確になったら、次はそこに充てる人員の配置です。当然ながらインサイドセールスに最適な人材の配置が大前提となります。注意したいのは、最初は小規模で、つまりあまり人員を多く配置しないで始めるほうがよい点です。準備万端整ったつもりでも、初めてのことだけに動き出してから不具合が生じる事例もあります。

 

このとき、小規模なスタートであれば、対応もそこまで難しくはないでしょう。しかし、いきなり大所帯で運用していたなら、大混乱に陥るおそれがあります。まずは小規模で動かして、慣れてくれば規模を拡大するほうがよいでしょう。

 

さて、インサイドセールスに適した人員の配置ですが、インサイドセールスに向いている人材の特徴を確認しておきましょう。基本的にインサイドセールスに求められるスキルの持ち主だといえます。

・ヒアリング力を含むコミュニケーション能力が高い

インサイドセールスはリードとの信頼関係の構築が欠かせません。中長期的な展望で比較的高額な商材の商談化を目指すことから、人間関係が重要になります。そのため、コミュニケーション能力が高いことはもちろん、課題の把握などに必要なヒアリング力が高い人材が向いています。

 

・忍耐力が強い

インサイドセールスの仕事は短期で結果が出るケースは多くないといえるでしょう。したがって、結果が出るまで辛抱強く業務を進める力があり、多少のことではへこたれない忍耐力が強い人材が向いています。

 

・協調性がある

インサイドセールスは一匹狼タイプの営業職とは真逆で、営業プロセスにかかわっているメンバー全員と情報を共有し、密に連携する協調性の持ち主が向いています。

 

・困難に直面すると力がわく

忍耐力と重なる部分もありますが、リードナーチャリングがうまく行かないケースや、リードの課題解決が簡単ではないケースに出会う可能性があるインサイドセールスには、困難に直面すると力がわくタイプの人材が向いています。

 

・課題解決力、提案力、情報収集分析力が高い

コミュニケーション能力や忍耐力、協調性などに加え、売上・利益につなげる力である課題解決力や提案力、情報収集分析力が高ければインサイドセールスとして大いに期待できるでしょう。様々な情報を収集し、取捨選択して分析したうえで、ニーズに合ったソリューションを見出す力。そして、リードが理解できるようにわかりやすくメリットも含めて伝える力があれば、非対面で営業を行うインサイドセールスに向いています。

 

・マルチタスクが得意

マルチタスクが得意な人はインサイドセールス向きといえるでしょう。インサイドセールスの仕事はリードと向き合うだけでなく、営業プロセスの各フェーズを担当するチームメンバーとの緊密な連携が必要です。また、日々の業務を適切に記録し、必要があれば各所に連絡を入れるといった業務も行います。毎日ではないものの、時間帯によってはテレアポに専念したり、業務全般にわたって利用が一般化しているITツールの操作したり、やることが多いためシングルタスクでは追いつきません。

 

KPIの設定

インサイドセールスの仕事を適正に評価する仕組みが必要です。KPIの適切な設定と分析で、評価と改善を図ります。主なKPIにはアプローチ数やアポ数、商談化数、受注金額といった量的KPIとアポ率、商談化率、受注率など質的KPIがあり、状況に応じて質と量をバランスよく設定することが重要です。

 

シナリオの作成

インサイドセールスの活動シナリオを制定し業務を標準化します。テレアポにおけるシナリオやトークスクリプトは、顔の見えないリードとのやりとりを円滑かつ有効に進めるうえで欠かせません。シナリオやトークスクリプトがあることにより、いつでも均質なリード対応が期待できます。

 

部門間連携のルール・体制を構築

分業化した営業プロセスでは部門間、担当者間の連携が重要です。円滑な連携を実現するには意思統一が必要であり、連携のルール・体制の構築が欠かせないポイントになります。

たとえば、用語の解釈が部門によって異なるケースがある場合、放置しておくと齟齬が大きくなってしまいかねません。また、対顧客文書の整合性にもかかわってくるため、些細なことに思えても、細かく整備する必要があります。

 

インサイドセールスの種類とメリット

ノートPCを抱えて右手で案内する女性

インサイドセールスにはリードの獲得方法やターゲットなどの違いにより2種類のタイプがあります。

 

BDR

BDR(Business Development Representative)はアウトバウンド型で新規開拓型のインサイドセールスです。自らがターゲットを選定してリード獲得に動きます。BDRで使用する主なアプローチ手段は電話とダイレクトメール、手紙です。獲得したリードが本格的な商談を行えるレベルに成長するまでナーチャリングし、SQLと呼ばれる受注確度の高いリードとなった時点でフィールドセールスに引き継ぐことが主な役割といえます。

 

BDRがターゲットとするのは主として大企業であり、高額商材の販売を行います。大企業が高額商材の購入を簡単に決裁することは珍しく、しかも訪問営業に例えれば飛び込みに相当することから、BDRは通常なら長期戦です。慎重に選定したターゲットに狙いを定め、じっくりとリードナーチャリングを行い、ドカンと大きな実績を作るのがBDRだといえるでしょう。

 

SDR

SDR(Sales Development Representative)はインバウンド型で反響型のインサイドセールスです。マーケティングから引き継いだMQL(自社のオウンドメディアで接触があったリードやセミナーなどに参加したリード)のなかから、見込み度が高いと判断したTQLと呼ばれるリードをアプローチのターゲットとして優先的にナーチャリングします。SDRのアプローチ手段は電話やメールです。

 

SDRのターゲットは中小企業がメインです。ターゲットの多くは決裁の仕組みが大企業ほど煩雑ではないものの、商材もそこまで高額なものは多くないことから、受注数で勝負するのがSDRだといえます。

ターゲットや商材の違い、アプローチの違いなどから個々の施策などは異なるものの、インサイドセールスとしての基本的な考え方や職務内容にBDRとSDRの違いはありません。

 

インサイドセールスのメリット

BDRであれSDRであれ、訪問しないインサイドセールスにはエリアの限界がない点が大きなメリットです。インサイドセールスがプロセスの全体を受け持つケースやフィールドセールスの制約がないケースなら、国内はもとより海外にも販路を拡大できます。

また、訪問しないメリットは、移動時間や移動のための交通費が不要というメリットにつながるため、営業活動のコスト削減が可能です。1人で北海道のリードにアプローチした後すぐに沖縄のリードにアプローチすることもできます。こうしたメリットは、1人で処理できる件数の増加を可能にすることから、人員不足の対策にもなります。

 

どのリードとやりとりであっても、常に自席に用意してある資料やITツールの登録データをフル活用できるため、営業活動の質的向上につながる点も大きなメリットのひとつです。さらに、データやノウハウの可視化と共有が属人化の回避につながります。

分業化のメリットとして、インサイドセールスがリードナーチャリングを引き受けることにより、フィールドセールスが商談、クロージングに専念できる点も忘れてはならないでしょう。

分業化によって職種が増えたことで、それまで活躍の場に恵まれていなかったビジネスパーソンが見違えるような働きを見せる可能性もあります。たとえば、外回りの営業は向いていないものの、ITツールを駆使しつつマルチタスクで働くインサイドセールスが適職だったというケースです。

 

インサイドセールスの業務プロセス・アポ獲得

ノートPCに向かいテレアポ中のビジネスマン

ここからはインサイドセールスの業務プロセスについて解説します。

 

テレアポによるアプローチ

テレアポはアポイントの獲得を意図して行う電話によるアプローチですが、インサイドセールスのテレアポは必ずしもアポ獲りだけを意図しているわけではありません。

インサイドセールスのテレアポはリードに向けた初回接触において、基本的な情報のヒアリングがメインで行われることが多く、即決しそうな場合など状況によってはアポ獲りが行われるといえます。その意味ではテレアポというよりも、テレホンインタビューといった感じでしょうか。テレアポのターゲットは狙い定めて選定した大企業のリストや業者からの購入リスト、自社のオウンドメディアやSNSに反響があったリスト、セミナーなどイベント参加者のリストなどがベースです。

初回接触でヒアリングすべき情報としては、リードの現状と抱えている課題、希望などに加え、BANTCH情報があげられます。

  • Budget(予算)
  • Authority(決裁権者)
  • Needs(ニーズ)
  • Timing(時期)
  • Competitor(競合)
  • Human resources(人的リソース)

テレアポを実施する際の注意点としては、架電する時間帯に配慮が必要であること、簡潔で明瞭な通話内容を心掛けること、押し付けがましくならないこと、明るく落ちついたトーンで話すことなどです。

 

メールによるアプローチ

メールによるアポ獲得のためのアプローチは電話がつながらない、電話をかけられないといったケースや、文書を送りたいとき、文字ベースで伝える必要があるケースに使えます。テレアポに比べると情報のやり取りにタイムラグがあるだけでなく、無視されてしまうおそれもありますが、同時に複数のターゲットに送れる点がメリットです。

メールは他のメールに埋もれてしまわないように、目を引く件名を付けることが望ましいといえるでしょう。本文は結論ファーストで、失礼のない文面を心掛けます。

 

インサイドセールスの業務プロセス・リードナーチャリング

スマホでリードナーチャリング中の営業マン

インサイドセールスで最も重要な業務ともいえるリードナーチャリングについて解説します。

 

リードナーチャリングの手法

リードナーチャリングを行う手法には、電話やFAX、Web会議システムなどインサイドセールスが日常業務に使用しているさまざまなコミュニケーションツールが用いられます。リードナーチャリングでは、定期的あるいは臨時に情報提供や状況のヒアリングを行うことが重要です。初回接触など早い段階でBANTCH情報を入手して管理していれば、リードナーチャリングのためのアプローチがより効果的に行えるでしょう。

また、展示会やセミナーを開催してリードを招待することも、有効なリードナーチャリングの手法のひとつです。オフラインのイベントであれば、リードと対面で商品やサービスの説明と提案が可能です。オンラインイベントでもコミュニケーションツールを活用することで、オフラインと同じくらいナーチャリングを進めることは可能です。

 

信頼関係の構築がポイント

リードナーチャリングでは、効率的で効果的なナーチャリングを実現するために顧客との信頼関係構築を行います。信頼関係なくしてリードの詳細な情報を引き出すことはできないでしょう。BtoBの取引では、高額商材が動くことが少なくないため、信頼関係ができていないとその先に進まないといった事態になりかねません。

BANTCHと呼ばれる予算、決済権者、ニーズ、時期、競合、人的資源の情報は、リードナーチャリングと信頼関係の構築に欠かせない情報です。なるべく早い時期にヒアリングし、入手しておきましょう。

 

リードクオリフィケーション

インサイドセールスはリードナーチャリング中の顧客の状況を見極め、フィールドセールスへ引き継ぐリード(SQL)を選別します。SQLはいつでも商談を進めてクロージングできる状態まで育ったリードです。

 

関係部署への情報提供

リードナーチャリング中には、リードからもたらされた情報を関係部署へ共有・フィードバックする作業が発生し得ます。情報を精査することで、リードナーチャリングをはじめインサイドセールスだけでなく、営業プロセス全体の改善につながることもあります。

 

インサイドセールスの業務プロセス・クロージング

スマホでクロージングするビジネスパーソン

インサイドセールスは営業プロセスが分業化されている現場では、原則としてクロージングを行いません。クロージングの役割を担っているのがインサイドセールスの次のフェーズを担当するフィールドセールスだからです。

 

とはいえ、社内やプロジェクトチームにフィールドセールスの組織がなかったり、インサイドセールスとフィールドセールスが独自に動いている企業だったり、まったく分業化されていない内勤営業の現場だったりすると、インサイドセールス自らがクロージングを行うケースがあります。

インサイドセールスがクロージングする商材には向き不向きがあり、フィールドセールスを使うよりもインサイドセールスに契約まで担当させたほうがよいケースもあれば、逆のケースもあります。SaaSなどの定額サブスクリプション契約は向いているといえますが、現物確認が必要な商材や高額商材は不向きです。

 

また、インサイドセールスが行う非対面でのクロージングにあたっては、ビジュアルで訴求しやすい資料の活用が必須といえるでしょう。オンライン上のサブスクリプションサービスなどが参考になります。

 

インサイドセールスの業務プロセス・ユーザーフォロー

お問い合わせの札を掲げるカエル人形

インサイドセールスのユーザーフォローについて解説します。

 

ユーザーサポート機能

ユーザーサポート部署をもたない企業では、インサイドセールスがそのままユーザーフォローを実施することで顧客満足度の向上を図れます。ただし、内勤のスタイルがコールセンター的な業務にはマッチしているものの、マルチタスクで忙しく働いているインサイドセールスとしては、本来の営業活動に支障が出る可能性もありそうです。

 

カスタマーサクセス機能

受注後を担当する営業職であるカスタマーサクセスがいない企業では、顧客との信頼関係ができているインサイドセールスが受注成約後の顧客を担当することにより、良好な関係が継続する期待が持てます。上位商材をすすめるアップセルや関連商材を販売するクロスセルの数字も期待できるでしょう。ただし、カスタマーサクセスは顧客の成功体験を実現するために導入支援や活用支援を行う必要があり、やはり多忙なインサイドセールスには大きな負荷となるおそれがあります。

 

インサイドセールスの評価・検証

PDCAのサイクルイメージ

インサイドセールスの評価・検証には、インサイドセールスの導入プロセス・フローで述べたようにKPIの設定と見直しが必要です。

 

KPIの見直し

KPIはインサイドセールスの適正な評価に必要と思われる設定がなされているものの、実際に稼働してみると、必ずしもマッチしていなかったというケースがあります。したがって、一度設定すれば終わりではなく、状況に応じて設定し直すことが重要です。

 

たとえば、現場の実情とマッチしていないKPIを設定したところ、まったくダメな結果が出たというケースはわかりやすいといえます。しかし、次のようなケースはどうでしょうか。数字を上げるためには積極的なアプローチが必要だと考え、コンタクト件数と架電数を重視したKPI設定にしたところ、インサイドセールスも頑張って目標を達成したというケースです。

 

そこだけ見れば何も問題はなく成果も出てよいことのように思えます。ところが、電話に集中することが優先になってしまい、肝心のリードナーチャリングやリードクオリフィケーションが疎かになってしまったとすれば、喜ばしいことではないでしょう。

 

PDCAを回す

インサイドセールスをより効果的なものとするためにはPDCAを回すことが不可欠です。PDCAは計画、実行、評価、改善の4つのステップを回します。計画が実行されると評価を行い、課題となる部分を改善して再び計画から始めるわけです。常に回しているからこそ、PDCAは効果を生み出せます。

 

また、PDCAはKPIで回すこともできますし、同時にナーチャリングやターゲティングから始まるアプローチ、進捗にフォーカスしたPDCAを回すことも可能です。KPIで回すPDCAは数値による明確化が可能で評価はもちろんのこと、課題や改善点も見えやすくなるといわれています。

 

すべてのプロセスに欠かせないITツールの活用

CRMと書かれた3つのキューブ

営業プロセスのすべてで欠かせない存在となっているITツールの活用について解説します。

 

CRM

CRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理、顧客管理システム)は、リードの基本的な顧客情報に加え、購買履歴など受注後の顧客管理はもちろんのこと、受注前においてもインサイドセールスが活用するリードのデータ全体をまとめて一元管理するなど役立ちます。必要なデータを一覧で表示させることも可能です。

 

SFA

SFA(Sales Force Automation=営業支援システム)は、インサイドセールスが行うリードナーチャリングなどの業務の進捗管理や、活動報告、記録などの情報をチームで共有可能にします。リードとの詳細なやり取りの確認分析や申し送りも簡単です。

 

MA

MA(Marketing Automation=マーケティングオートメーション)は、マーケティングに関するさまざまな取り組み、施策を自動化することにより、インサイドセールスのアプローチやリードナーチャリングをサポートします。メールなどの分析やコンテンツ配信も可能です。

 

Web会議システム

Web会議システムは、外出しない非対面の営業職であるインサイドセールスの活動を強力にサポートします。画面越しとはいえ、お互いの顔を見ながら会話ができるだけでなく、資料ファイルの画面共有や、送信も可能です。

ITツールを導入する際には、自社のニーズに合わせたシステムを選択するために、無料お試しやデモサイトなどの利用を考えましょう。

 

インサイドセールスは適切なプロセスで導入し自社に合った業務プロセスで推進しよう

インサイドセールスはリードをフィールドセールスに引き継ぐまで、場合によっては成約まで中長期にわたって関係を構築し、ナーチャリングを行う責任重大な仕事であり職種です。また、ITツール、コミュニケーションツールを使いこなしてマルチタスクの業務を推進します。インサイドセールスへの転職を考えているなら、大変なことが多い反面、適切に導入して運用すれば、やりがいにもつながる仕事でおすすめです。また、インサイドセールスの導入を考えている企業さまは、適切なプロセスで自社に合った業務プロセスを推進してください。

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