2025年4月21日公開
最終更新日:2025年4月23日
インサイドセールスとアウトサイドセールスの違いとは? 連携ポイントと求められる営業スキルを解説
営業職の募集を見ていて「インサイドセールスとアウトサイドセールスの違いってなんだろう?」と疑問をもったことはないでしょうか。求人募集でも「営業職」ではなく、それぞれの職種に特化したものを見かけるようになりました。
とくにSaaS系企業では分業型の営業体制が導入されています。インサイドセールスにおいては、未経験者歓迎の求人も多く、教育体制が整っているのが特徴です。市場で求められるデジタルスキルを身につけられるため、需要が高まりつつあります。
この記事では、基本的な営業活動のプロセスをもとにインサイドセールスとアウトサイドセールスの違いについて解説します。それぞれの働き方を理解し、自分に合った職種を選んでみてください。
インサイドセールスとアウトサイドセールスの違いとは?
営業活動の分業化は、SaaS企業最大手のセールスフォースが提唱した『The Model(ザ・モデル)』がベースです。インサイドセールスとアウトサイドセールスは、それぞれ異なる営業活動のプロセスを担っています。具体的にどのように違うのか、インサイドセールスとアウトサイドセールスの役割について解説します。
インサイドセールスの役割
インサイドセールスは、興味喚起からアポ獲得、商談初期のヒアリングまでを担当する営業職です。マーケティング部門と連携をして、顧客の情報を受け取り、顧客の興味や関心度を分析をして戦略を立てます。この段階では成約を狙いません。あくまで商談につなげるための関係構築を担います。
メールや電話でアプローチをかけて、顧客の興味が高まった段階で見込み顧客として、アウトサイドセールスに情報を連携します。
▼インサイドセールスの役割については、こちらでさらに詳しく解説しています。
インサイドセールスの役割とは? メリットや導入成功のポイントなど基礎知識を解説!
アウトサイドセールスの役割
アウトサイドセールス(フィールドセールス)は、インサイドセールスが育成した見込み顧客のもとへ直接訪問をして商談を行う営業職です。どこまで関係が構築できているのか、インサイドセールスのヒアリング内容やコミュニケーション履歴などをチェックして、最適な提案を検討します。
近年はオンラインで商談するケースも増えており、クロージングまで実施する役割を担う重要な職種です。
インサイドセールスとテレアポの違い
インサイドセールスは営業活動を電話で行うため、テレアポ(テレフォン・アポイントメント)と誤解する人もいますが、テレアポとは目的や業務範囲が異なります。それぞれの違いについて簡単に解説します。
目的の違い
テレアポは「アポイントの獲得」が目的ですが、インサイドセールスは「商談を前提とした関係づくり」が目的です。見込み顧客の関心の強さや購買意欲別に分けて、電話やメール、DM、セミナー、コンテンツマーケティング、SNSなど幅広い媒体で最適なアプローチを実施します。
テレアポのように電話が終わればそこで関係が終わるわけではなく、中長期的な戦略を立てて施策を実施します。架電件数はテレアポより少ないですが、質の高い見込み顧客を時間をかけて育成し、アウトサイドセールスへ渡すことが可能です。
業務範囲の違い
テレアポはあらかじめ用意されたトークスクリプトをもとに電話をかけます。獲得したアポは次の担当者へ引き継がれれば終わりです。
インサイドセールスは、マーケティング部門から顧客に関連するデータを受け取り、育成シナリオを設計し、トークスクリプトも顧客にあわせて作成します。テレアポよりも戦略的な業務が多いですが、ツールなどで効率化が可能です。
ツールや体制の違い
テレアポが使うツールは一般的に電話のみです。インサイドセールスは、MAやCRMツールを活用して顧客の行動データや育成状況の分析を行います。
ツールの活用により、インサイドセールスはテレアポよりも顧客に対する理解を深めることができるわけです。こうした活動により、次の工程を担うアウトサイドセールスの負担が軽減されます。
インサイドセールスからアウトサイドセールスへの連携ポイント
インサイドセールスで育成した見込み顧客をアウトサイドセールスへ連携するフェーズは、商談成功率に影響を与えるほど重要なフェーズです。アウトサイドセールスのスムーズなクロージングへつなげるために、インサイドセールスが押さえておきたい連携のポイントを解説します。
見込み顧客の状態を見極める
アウトサイドセールスに連携する前に、見込み顧客の育成を続けたほうが良いのか、商談に向けて連携すべきかを見極める必要があります。もし、あいまいな状態で連携すると、提案の方向性が定めにくくなります。
切り替える判断の目安は以下の通りです。
・価格や導入時期の質問
・資料請求などの申込
・過去の反応の変化
これらの要素をチェックして「今ではない」と判断したら、切り替えるタイミングではありません。十分に育成をしてから連携することが大切です。
受注確度を高めるために顧客インサイトを伝える
成果を上げるには、アウトサイドセールスに顧客のインサイトを伝えることが大切です。「顧客は他製品やサービスと比較していて情報を集めている」「導入時期に不安を抱えている」など、顧客の背景や動機によって、必要な戦略が異なります。
どのような課題があり、自社に関心をもったのかを伝えることで商談設計がしやすくなるためです。具体的なデータを共有すると戦略が立てやすくなります。
アプローチの方向性を伝える
アウトサイドセールスは、インサイドセールスから共有された情報をもとに商談の切り口を考えます。「初期費用について質問が何度もあった」といった共有がある場合、提案資料のなかで費用に関連する資料を集めて作成します。これは過去の導入事例を費用付で提案することで、顧客に安心感を提供するためです。
同じ費用面の質問でも、担当者の反応が異なるケースもあります。顧客に関するあらゆる情報を共有しましょう。
アウトサイドセールスの具体的な営業活動
インサイドセールスとアウトサイドセールスとの違いを明確に理解してもらうために、アウトサイドセールスの仕事内容について解説します。
商談戦略からクロージングまでを担当する
アウトサイドセールスは、顧客のニーズや課題に対して、最適な解決策を提案し、成約につなげるのが仕事です。
見込み顧客の情報をもとに、自社製品でどのような支援ができるのかを整理して伝えるスキルが求められます。顧客にもとへ訪問してリアルな反応を見れるのが、インサイドセールスとの違いです。
商談を通じて信頼関係を構築する
アウトサイドセールスは、顧客との関係構築も大切な仕事です。寄り添った提案をするには、顧客が抱える課題の深掘りが必要です。
顧客の気持ちや置かれている状況に寄り添った提案を心掛けることで、自然な形で信頼関係を築いていきます。相談しやすい存在になれば、提案を受け入れてもらいやすくなります。
導入に向けた調整や交渉を行う
アウトサイドセールスは成約後、製品やサービスの導入まで社内調整や導入スケジュールの管理を行います。期日までに導入するため、社内の関係者と連携し、スムーズな導入に向けて調整を行うのです。
導入スケジュールが短期のときは、関係部署と交渉をして調整することもあります。柔軟な対応力と交渉力が求められます。
インサイドセールスが注目を浴びている理由
インサイドセールスが多くの会社で導入されているのは、SaaSビジネスの成長が理由です。ほかにも市場の変化に対応しやすいという理由もあります。ここでは、インサイドセールスがなぜ注目を浴びているのか解説します。
SaaSビジネス拡大による需要の向上
近年、消費者の購買行動の変化もあり、さまざまなSaaS製品が登場しています。長期的に利用してもらうために顧客の関心を育成しなければなりません。そのため、顧客と多様な方法で接点を持ち、関心度を育成する役割を担っているインサイドセールスが欠かせない存在となっているのです。
カスタマーサクセスやマーケティングなどの職種と兼務するケースもありますが、成約につなげるための職種として多くの会社から需要が高まっています。
▼SaaSビジネスや業界の将来性については、こちらの記事をぜひご覧ください。
SaaS業界の将来性はある? 転職のポイントや働くメリットもあわせて徹底解説
市場が変化しても柔軟に対応しやすい
インサイドセールスが注目を浴びたのはコロナ禍です。対面でのコミュニケーションが制限されるなかでも、電話やメールなど非対面で営業活動を継続できることから注目を浴びました。
こうした体制を構築しておけば、社会情勢や市場が変化しても、持続的な経営活動が可能です。また、フルリモートワークとも相性が良く、新しい働き方を希望する求職者や企業にとっても大きなメリットがあることから注目を浴びています。
企業で育成体制を整えやすい
インサイドセールスは、営業活動だけではなく、必要な知識を習得するための育成体制もオンラインで整えやすいというメリットがあります。とくにSaaS製品はプロダクトの理解が欠かせません。
セールスフォースでは無料学習ツール「TRAILHEAD」を提供しています。このように、製品知識について体系的に学べる環境を用意している企業もあります。SaaS業界の経験がなくてもインサイドセールスなら挑戦しやすいでしょう。
ITリテラシーや分析スキルが身につく
インサイドセールスは業務でCRMやMAツールなどデジタルツールを使います。こうしたツールの操作スキルは、市場でも求められているスキルのひとつです。働きながら、ツール操作やITリテラシーを身につけられるため、IT業界でのキャリアパスとして注目を浴びています。
インサイドセールスに必要な営業スキル
インサイドセールスは未経験から挑戦しやすい営業職です。多様な職種と連携を取ることから、営業経験を多方面で活かすことができます。具体的にどのような経験を活かすことができるのか解説します。
ヒアリングを通して課題を解決する力
インサイドセールスとして活躍するには、顧客のニーズを汲み取るヒアリング力が必要です。営業経験を活かし、顧客自身が認識していない課題を引き出すことで、より良い提案へつなげることができます。
顧客の行動データをもとに、潜在的なニーズや関心を予測して、解決策を検討するのは営業経験を役立てることが可能です。データとトークスクリプトを組み合わせることで、顧客の隠れたニーズを把握し、商談につながるアプローチを行うことができるのです。
▼インサイドセールスのトークスクリプトについてはこちらの記事で解説しています。
インサイドセールスのトークスクリプトとは? 営業活動を成功に導く効果的な作成方法や例文を紹介
商談へつなげるための顧客育成力
顧客は成約に至るまでさまざまな情報を収集し、検討を重ねます。インサイドセールスはこの顧客の検討段階から、信頼関係を築いていく必要があります。
良好な関係構築には営業経験が欠かせません。一度断られても、継続的なフォローを入れて状況の変化による新たな課題やニーズを把握する必要があるためです。
具体的には興味や関心に合ったメールの配信や、電話によるフォローがあげられます。アプローチ後の反応も調査し、戦略を立て直すことで、商談へと導くことができます。
情報を整理して言葉で伝える力
インサイドセールスでは、顧客から得た情報を整理して、アウトサイドセールスにわかりやすく伝える力が必要です。従来の営業活動でも行われていた、顧客情報を整理して、提案をするといった経験がインサイドセールスでも役立ちます。
この言語化能力は、顧客育成だけではなく、社内連携でも活用が可能です。ツールで抽出したデータを、誰が見てもわかりやすく整理できればスムーズに共有できます。データドリブンな営業手法が求められるなかで、こうしたツールから得られる情報を整理できるスキルがあると、幅広い業界で重宝されます。
社内連携をスムーズにするコミュニケーションスキル
インサイドセールスは、マーケターやカスタマーサクセス、企画営業などさまざまな職種と連携して進めることが多くあります。
多様な職種とスムーズに連携を取るにはコミュニケーションスキルが欠かせません。社内での情報共有やチームで協力するのは、営業職を経験していれば慣れているでしょう。こうしたコミュニケーションスキルが高いと、アウトサイドセールスとも連携がしやすくなります。
さらに社内での情報共有がスムーズだと、顧客へ丁寧なフォローを実施することが可能です。あらゆるニーズに対応しやすくなることで、成約率の向上も期待できます。
インサイドセールスとして働くなかで、自身が得意な分野を見極めることで、その領域に特化したキャリアを築くことも可能です。インサイドセールスへの転職をきっかけに、営業職からのキャリアを広げてみましょう。
インサイドセールスへの転職をサポートします
インサイドセールスは、営業経験を活かせる職種です。これまで培ってきた営業経験を、顧客との関係構築や商談の進行、社内連携に活かすことができます。アウトサイドセールスやマーケティングなど、さまざまな職種へキャリアパスを広げることも可能です。
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