2025年6月1日公開
最終更新日:2025年6月1日
インサイドセールスで重視されるアポ率とアポの獲得率を上げる方法とは? ポイントやコツを解説
インサイドセールスとアポ率は切っても切れない関係にあります。テレアポやメールはインサイドセールスの重要なアプローチ手段であり、アポ率の向上は有効なリードの獲得・育成に欠かせません。この記事ではアポ率を上げるコツや注意点など、インサイドセールスのアポ率について解説します。見出しを目次に見立てて参考にしてください。
インサイドセールスとアポ獲り
インサイドセールスにとってアポイントの獲得=アポ獲りは通常業務のひとつであり、アポ率は常に気になる指標といえます。
アポはインサイドセールスの主要業務
アポ獲りはインサイドセールスの主要業務となっています。アポ獲りといえば、専門要員の存在が思い浮かぶかもしれません。もちろん、アポの獲得成功を目的とする専門要員を活用するケースがないとはいえません。しかし、一般的なインサイドセールスにとって、自らアポ獲りを行うことは、あくまでも業務の範囲内です。
インサイドセールスにはSDR(Sales Development Representative)反響型インサイドセールスとBDR(Business Development Representative)新規開拓型インサイドセールスの2種類があります。どちらであっても、インサイドセールスにとってアポ獲りは目的ではなく、リード獲得やリードナーチャリングの手段として重要な業務です。
ターゲットによってアポ率は異なる
BDRのように接点のないターゲットに向けたテレアポは、一般にアポの獲得確率=アポ率が低い傾向にあります。見知らぬ相手から突然かかってきた電話で、なんらかの約束をする企業や人は多くないことを考えれば、アポ率の低さは織り込み済みだともいえるでしょう。BDRのターゲットは大手の株式会社が多く、用件を伝える前に切られることさえあるくらいです。
一方、SDRのようにオウンドメディアやSNS、セミナーや展示会といった媒体やイベントの機会を介した顧客の反響を前提とするケースでは、高めのアポ率が望めます。少なくともターゲットの多くは自社の商品やサービスになんらかの関心を持っている可能性が高く、アプローチを待っているケースもあるためです。ただし、反応してくれたのだから連絡を待っているはずなどと思っていると、肩透かしをくう可能性があります。
顧客からの反響は必ずしも購入意欲を伴うわけではないためです。また、購入意欲があったとしても、こちらからのアプローチに時間がかかっていると、熱が冷めてしまうケースが少なくありません。せっかくのチャンスを無駄にしないためには、クイックレスポンスが重要です。
一般的なインサイドセールスのアポ率
アポ率が高い、低いといっても実際にはどのくらいの数字があるのでしょうか。ここでは、BtoBの商材を扱うインサイドセールスにおける一般的なアポ率を紹介します。
・購入リストへのテレアポは0.3%~0.9%程度
自社でテレアポ先のリストを用意できない場合、業者から購入したリストを利用することがあります。平均的なアポ率は1%にも満たないとされており、料金がかかるうえ、効率を考えればあまりおすすめとはいえないかもしれません。リストに載っているターゲットは、いわば本当に何の関係もない相手であり、そもそも自社の商品やサービスに興味や関心があるかどうかもわからない状態です。このようなターゲットへのアプローチは、BDRで行われます。
・メールマーケティングへの反応へのテレアポは5%程度
自社で実施したメールマーケティングへの反応があったターゲットへのテレアポは、次のセミナー出席者等へのアプローチともどもSDRの手法であり、5%程度と高めのアポ率を出しています。とはいえ、1桁台のアポ率は物足りないかもしれません。また、反応があったからといって全員が強い関心を持っているわけではない点は前述の通りです。
・セミナー出席者等の名刺へのテレアポは10%程度
セミナー出席者で名刺を残していったターゲットのアポ率は10%程度と高い水準です。受付で事務的に名刺を受け渡しするケースよりも、担当者が対面で名刺交換するケースのほうが期待度は高いと考えられます。
・テレアポ以外(FAX・メールなどでのアポ獲り)は0.3~5%前後
電話ではなくFAXやメールを使ったアポ獲りの場合、直接話すわけではないことに加え、そもそも気付かない可能性があり、気付いたとしても無視される可能性もあることから低いアポ率になりがちです。
ところが、文字や画像でアピールでき、ターゲットにしてみれば好きなときに見ることができることもあってか、高めのアポ率になることもあります。そのため、テレアポ以外の手段を使う場合は、相手の目につくこと、わかりやすい内容であることを意識して心掛けるとよいでしょう。
インサイドセールスのアポ率を計算する方法と意義
ここでインサイドセールスのアポ率計算と意義について確認しておきます。
アプローチ数に対するアポ獲得の割合
まず、アポ率の計算方法は一般的な割合の算出方法と同じです。分母にアプローチの架電数を、分子にアポ獲得数を設定します。架電数が100に対してアポ1なら1/100です。1÷100=0.01で100倍すると1%という単純な指標となっています。
アポ率は効率よいアポ獲りのために重要な指標
アポ率は単純な指標であるからこそわかりやすく、アポ獲りのために重要な指標だといえます。アポ率を知ることで、インサイドセールスの営業活動が効率よく行われているか否かを知り、改善すべき課題を発見するための端緒とするなど、効率とともに結果につながる業務推進を行うために算出するのがアポ率です。
したがって、率だけでなく実際に獲得するアポ数も課題となります。アポだけに絞って考えれば、1日1件アプローチを行ってアポ率が100%だったとしても、あまり意味はないように感じられるのではないでしょうか。その日に獲得できたアポは1件だけです。
それよりもアポ率10%で1日50件アプローチするほうが、5倍のアポ数となるため評価が上となり得えます。また、少ないアプローチ数はサンプル不足が考えられるため、計算結果としてのアポ率がいつも同じになるかどうかがわからない点に注意が必要です。
アポ率は条件次第で変わる
アポ率の改善を図るなら、表面的な数値だけを見ていたのでは不十分だといえます。なぜなら、アポ率は条件次第で変わるためです。
同じ商材でもターゲットの属性が変わればアポ率が変わる可能性があります。属性が同じでも、個人の好みの問題などもあるでしょう。ターゲットなどの条件が同じでも、商材が異なればアポ率は変わり得ます。さらに、他の条件がすべて同じだったとしても、インサイドセールスの担当者によってアポ率は変わるでしょう。こうした差異を分析・検討することで、業務改善につなげるなど、アポ率の算出には意義があります。
アポを効果的に獲得するための方法
一般には高くても10%程度となっているアポ率ですが、アポを効果的に獲得する方法を解説します。
目的を明確化したアポ獲り
目的なくアポ獲りをすることはないでしょう。しかし、目的が漠然としていたり、曖昧だったりするケースは起こり得ます。何の商材でソリューションとして提案する価値は何か、ターゲットの業種や企業規模の範囲はどこまでか、どこまで話を進めるかといった目的を明確にすることで、伝えるべき事柄も含め効果的なアポ獲得につながるでしょう。
間違いのないターゲット選定
目的達成のためには間違いのないターゲット選定が欠かせません。業種業界や企業レベルまでのターゲットは適切であっても、実際にアプローチする相手として誰をターゲットにすべきか、しっかりと検討して選定することが重要です。どの部署のどの役職にある人を選定するかをしっかりと見極めれば、効果的なアポ獲得につながります。
的確なアプローチ
目的とターゲットが明確になったら、収集する情報の項目設定やシナリオ、トークスクリプトの作成も含め的確なアプローチ方法を練り上げて実施します。内容はチーム内でよく相談しましょう。
初回接触で話が進む可能性は高くないものの、だからといって中途半端な準備では、チャンスが巡ってきた際に逃してしまいかねません。場合によってはロープレを実施するなど、いざというときにまごつかない用意をしたうえでアプローチを行いましょう。
アポ獲得後の流れをしっかりと準備しておく
アポを獲得した後の流れもしっかりと準備しておくことで、迷いなくアプローチができます。その先の流れを詰めていないようでは、聞いているターゲットもイメージがわかない可能性が高く、アポ獲得にはつながりにくいでしょう。
KPIの設定とPDCA
KPI(重要業績評価指標)の設定は、インサイドセールスの活動において重要です。一般的に考えられるKPIとしては、架電数、メール送信件数、コンタクト件数、アポ数、アポ率、成約数、売上金額といったものがあります。KPIの設定があることによって、インサイドセールス業務の評価と検証が可能です。さらに、この評価と検証は常に行う必要があります。PDCAサイクルを回すことで、よりよいアポ獲りを目指せます。
KPIに架電数やアポ数に加え、アポ率が設定される理由は、そもそもアポは最終的に売上・利益という結果につなげるという営業プロセスの一部だからです。そこには効率が求められるため、アポ数などの量だけでなく、アポ率などの質も重要となっています。
アポ率を高めるためのコツ
大枠としては同じアプローチであったとしても、以下に示すコツを使えばアポ率が高くなる可能性があります。
ファーストインプレッションを重視する
アポを獲るためには、まずはアプローチに耳を貸してもらう必要があります。営業電話に抵抗感を抱いている企業は多く、ストレートに用件を伝えても相手にされない可能性が高いでしょう。ここでアポ率を高めるコツは、ファーストインプレッションを重視した特徴ある語りかけを採用したアプローチを行うことです。AIDMAの法則でいうところのAttentionであり、自社の商品やサービスを認知してもらうために、この話を聞けば課題解決に役立つかもしれないと思ってもらえるような切り出し方をします。
メールの場合は件名や一行目の文章がありきたりにならないような工夫が重要です。お悩みを解決しますといった文言は評価が分かれるところですが、シンプルにターゲットにとってのメリットになり得る点を打ち出すとよいでしょう。同時に、簡潔明瞭でわかりやすい文章が求められます。
明るくハキハキかつ落ち着いた雰囲気で話す
ファーストインプレッションは声のトーンや話し方でも変わります。明るくハキハキとした受け答えと同時に、落ち着いた雰囲気の自然な会話を心掛けることが重要です。一見矛盾しているように感じるかもしれませんが、騒いでいるかのような極端な明るさでなければよいといえます。暗い雰囲気でボソボソとハッキリしない話し方や落ち着きのない雰囲気は、相手をしていて気持ちのよいものではないでしょう。
ターゲットの状況に合わせる
ここぞとばかりにアピールしたいことがあったとしても、相手が話しているときは聞き役に回ります。また、ターゲットの様子に気を配り、いまは話さないほうがよさそうだと思ったら、それ以上踏み込まず、次のチャンスを待つ判断も有効なコツになります。
そもそもインサイドセールスのアポ獲りは目的ではなく、リードの獲得からナーチャリングを経て商談化したリードをフィールドセールスに送るという中長期的なミッションの一部であり、慌てることはありません。焦って反感を買ってしまう方が問題です。あわせて、アプローチする時間帯やタイミングにもターゲットの都合を考える必要があります。
アクティブリスニングを実践する
アクティブリスニングは傾聴姿勢とも呼ばれている聞き手のテクニックです。共感や理解を示しながら積極的に話を聞く姿勢を見せることで、ターゲットはさまざまな情報を無料で具体的に提供してくれる可能性が高まります。話し上手は聞き上手といわれますが、まさにそのとおりです。
アクティブリスニングを活用することで、執拗に聞き出そうとしなくても、ターゲット企業の状況や担当者の情報をまとめて引き出すチャンスが生まれます。アプローチされているターゲットが、自分事として話す状況を作り出すことで、双方の距離が縮まるでしょう。
断られたら感謝する
インサイドセールスからのアプローチを心待ちにしているターゲットはほとんどいないといえます。したがって、アポ獲りを試みても断られるのが普通です。断られたら心の中で、想定通りの反応をしてくれてありがとうと感謝することが、ネガティブな気持ちを回避するコツであり、アポ率向上につながる可能性を高めます。
応酬話法を用意しておく
断られて感謝しても、切り返しができなければそこで話は終わってしまいます。断り文句にはいくつかのパターンがあるため、有効な応酬話法を用意しておくことが断り文句に負けずアポ率を高めるコツです。ただし、応酬話法で話がつながったとしても、問題なく会話が続いている場合を除いて長話になるのは避ける必要があります。ターゲットにも自分の仕事があるでしょうし、電話の目的はアポ獲りだからです。可能であれば早めにアポ獲りにつなげて電話を終了します。
アポ獲りはアポ獲りに専念する
インサイドセールスの仕事はマルチタスクであり、アポ獲りだけをやっていればよいというわけではありません。しかし、アポ獲りは酋長が必要な業務であり、並行して他の業務をやっていたのでは中途半端になってしまいかねません。そこで、時間や日を決めてアポ獲りに専念することがアポ率を高めるコツのひとつです。
アプローチで注意すべきポイント
売り込み感を出さない
どのようなセールスであれ、売り込み感が出過ぎているとターゲットは警戒します。コツでも述べたように、ターゲットにメリットがあることを伝えることで、売り込み感を抑えることが可能です。ターゲットが自社のための提案だと感じてくれればなおよいですが、その際にセールストークでありがちな「大人気商品です」「○○社も導入しています」といったフレーズは基本的には避けるべきといえます。こういったフレーズは売り込みの定番であると同時に、あなただけに提案するメリットという特別感がなくなってしまうためです。
クイックレスポンスを心掛ける
「ターゲットによってアポ率は異なる」の説明でクイックレスポンスに触れましたが、クイックレスポンスはあらゆる場面で重要です。たとえばメールでの質問に対しては時間を置かずに対応する必要があります。間が開けば相手の熱量が下がるだけでなく、やる気や誠意がないと思われる可能性があり、損にはなっても得をすることはないためです。
優先順位を間違えない
アプローチそのものの注意ポイントではありませんが、アプローチの優先順位を間違えるとホット客を放置して見込み薄のターゲットに時間を割くといったことが起きかねません。成果につながりやすいターゲットの評価、優先順位の判断はしっかりと行う必要があります。
相手によって態度を変えない
テレアポでは担当者や決裁権者と直接つながるケースばかりではありません。受付的な立場の人に対する配慮は抜かりないとしても、役職が下の人や取引と関係なさそうな人に対しても失礼な言動をすることがないように気をつけましょう。ターゲットは自社の人間に対する態度を見ているものです。
アポ率アップにITツールを活用する
アポ率アップをシステム的にサポートする手段として、ITツールの活用があります。
管理・支援ツール
2024年現在、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援ツール)、MA(マーケティングオートメーション)は、インサイドセールスのみならず営業プロセスの業務全般に役立つITツールです。アポ率アップの手段としては、CRMやSFAにテレアポに関するデータを登録し管理します。記録を残しておけば、アポにつながったケースとつながらなかったケースの内容分析が可能です。MAではメールの効果測定や分析が役立ちます。
Web会議システム
インサイドセールスのアプローチ手段として活用されているWeb会議システムなどのコミュニケーションツールは、高機能であると同時に電話とメールの長所を兼ね備えています。お互いの顔が見える状態だけでなく、さまざまな資料を共有できる前提でアプローチすれば、理解が進みアポ率の向上につながるでしょう。
インサイドセールスのアポ率アップは入念な準備と検証で実現しよう
インサイドセールスのアポ率は、コツをおさえて注意点に留意することでアップできる可能性があります。最大でも10%程度とされているアポ率が高いか低いかは判断が分かれるかもしれませんが、1%でもアップさせることは、インサイドセールスとしてのスキルアップにもつながるでしょう。インサイドセールスに転職するなら、ITツールの活用も含めて入念な準備と検証を行い、アポ率をアップさせましょう。
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