2025年6月1日公開
最終更新日:2025年6月1日
インサイドセールスが向き合うリード管理とは? リードナーチャリングの重要性や方法・ポイントも含めて紹介!
インサイドセールスはリードが育っていない時期から商談を本格化させる時期まで、中長期にわたってリード管理を行います。効果的なリード管理の実施には、リードとの関係やナーチャリングなどリード管理への理解が重要です。この記事では、インサイドセールスが向き合うリード管理について、ナーチャリングの方法・ポイントなども含めて解説します。見出しを目次に見立てて参考にしてください。
インサイドセールスとリードの関係
リード(見込み客)は顧客を相手に事業を展開する企業にとって、実績を左右する欠くことのできない存在です。とはいえ、リードとの関係は部署や職種によって異なります。ここではインサイドセールスとリードとの関係について確認しましょう。
インサイドセールスは長期的にリード対応を行う職種・仕事
インサイドセールスはマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスと4つに分業化された営業プロセスにおいて、もっともリードと深くかかわる職種、仕事といっても過言ではありません。
企業はターゲットとして選定した顧客をリード化し、商談を成立させて既存客として取引を行います。すべての顧客が永遠に取引継続となるわけではないため、過去の取引履歴の1ページとなってしまう顧客も少なくないのが現実です。取引終了分の穴埋めだけでなく、業績アップのためにも常に新しいリードの獲得が求められます。
インサイドセールスは、このような企業と顧客とのかかわりにおいて、商談成立前の期間を通じてメインとなってリード対応を行います。インサイドセールスが担当するリードはじっくりと時間をかけて商談化を図るケースが多いため、その対応は一般に長期的なものです。
リード対応は営業プロセス全般の主要業務
リード対応のメインとなるのはインサイドセールスですが、リード対応そのものはインサイドセールスだけが行うわけではありません。リード対応は営業プロセス全般の主要業務であり、営業プロセスごとに、それぞれの担当者が行うリード対応が存在します。
インサイドセールスからリードを引き継いだフィールドセールスは、リードとの商談をまとめてクロージングに持ち込むことが主な業務です。また、フィールドセールスが成約につなげた顧客は、当該契約そのものについてはリードではなく既存客となるものの、派生商材や上位商材、追加商材のリード足り得えます。したがって、アップセル(上位商材の販売)やクロスセル(関連商材の販売)を担当するカスタマーサクセスの仕事もリード対応の一種だといえるでしょう。
リードのプロセス別分類
リードは営業プロセスのどの段階に該当するかによって、主に以下の3つに分類できます。
MQL
MQL(Marketing Qualified Leads)は4つの営業プロセスの第一段階であるマーケティングが対応することが好ましいリードとされています。営業プロセスの分業化における各部門の業務範囲の考え方は、企業によって差があるところです。リードとなった顧客の対応はすべてインサイドセールスが行うとする企業もあれば、一定程度の見込み度になるまでは、後述するナーチャリングも含めてマーケティング部門が担当する企業もあります。
MQLは、このマーケティング部門が担当する、あるいは担当すべきとされているリードです。マーケティング部門はあくまでも営業部門であるインサイドセールスへアプローチに値するリードを送る役割を担っています。そのため、販売活動ではなく販売しやすくする活動が主任務です。マーケティング活動としてのメルマガやセミナーなどの入り口で自社や自社の商品・サービスに興味を示した顧客をMQLとし、ナーチャリング・精査したうえでインサイドセールスに引き継ぎます。
TQL
TQL(Teleprospecting Qualified Leads)は、MQLを引き継いだインサイドセールスが、そのなかから商談化の確度が高いとして選別したリードです。具体的な動きでいえば、電話やメールなどのアプローチを実施し、アポ取りにつながったリードなどを指します。
SQL
SQL(Sales Qualified Leads)
SQLは商談を詰めにかかる=フィールドセールス(一部インサイドセールス)が対応する段階、ニーズが潜在化した段階のリードです。MQLからTQLとなり、リードとして最終的に到達するのがSQLだといえます。SQLの先は受注、成約してリードから既存顧客になるか、失注して関係がなくなったり、一からやり直しになったりです。
ただし、インサイドセールスからフィールドセールスに回ってきたリードのすべてが商談を詰められる段階になっているとは限りません。見込み違いも含めてフィールドセールスに回ってくるリードをSAL(Sales Accepted Leads)と呼ぶこともあります。クロージングはまだ先だと考えられるケースで、フィールドセールスに戻されることもあるのがSALです。
各プロセスで実施するリード管理の中身
リード管理は各プロセスによって以下のような中身で行われます。
リードジェネレーション
新しいリードであるMQLを集めるプロセスを担うのがマーケティングであり、リードを集める、獲得する仕事がリードジェネレーションです。マーケティング活動として、オンラインとオフラインの両面からリードを集めます。
オンラインの施策はオウンドメディアの展開やメルマガの発信などによる資料の請求・ダウンロード、問い合わせ対応などです。オフラインではセミナーや製品展示会の開催があります。前者ではフォーム上での情報入力が、後者では記帳や名刺交換が主な顧客情報の収集手段です。
リードクオリフィケーション
リードの選別作業をリードクオリフィケーションと呼んでいます。どのような選別を行うのかといえば、集めたMQLをインサイドセールスに引き継げるリードと引き継げないリードに選別する作業が一般的です。たとえばオウンドメディアから資料をダウンロードしたMQLは、すべてがインサイドセールスによるアプローチ対象になるとは限りません。まったく買う気がないものの、冷やかし半分の軽い気持ちでダウンロードするケースもあります。
リードクオリフィケーションは、インサイドセールスからフィールドセールスへのリード引き渡しの際にも行われる選別作業です。フィールドセールスに引き継いで商談をまとめてもらう段階か否かの判断を行います。
リードナーチャリング
リードナーチャリングは見込み客の育成を意味する言葉であると同時に、インサイドセールスの主要業務です。リードをナーチャリングするとは、マーケティング部門から引き継いだリード、自らが獲得したリードをフィールドセールスに引き継いでクロージングに持ち込める見込み度の高いリードに育て上げることを意味しています。
いますぐにでも買いたいというリードなら話は早いですが、多くのリードはそうではありません。ニーズが顕在化しているリードであっても、とりあえず情報収集をしたいだけというケースが少なくありません。潜在的なニーズを持っているリードなら、そのニーズに気付かせてあげる必要があります。
いずれにしてもMQLからTQLとなり、時間をかけてナーチャリングを行った結果、SQLとなることでフィールドセールスに引き継ぎができます。顧客がリードである間のほぼ全期間にわたって、前面に立ってリードと向き合い、ナーチャリングを実施してリードの購買意欲を高めるのがインサイドセールスです。
購買意欲を高めるためには、まず信頼関係を構築する必要があります。映像コンテンツの配信といったサブスクリプション型のサービスなどを除いて、インサイドセールスで扱う中長期的な販売戦略が必要な商材は、リードと企業の間に信頼関係がなければ成約は難しいといえるためです。インサイドセールスによるリードナーチャリングには、信頼関係の構築が欠かせません。
先に述べたように、リードナーチャリングにはマーケティング部門が行うものもあります。マーケティング部門で行なうリードナーチャリングは、インサイドセールスに引き渡せる見込み度まで高めるものであって、商談のセッティングを目指すものではない点がインサイドセールスのリードナーチャリングと異なる点です。
インサイドセールスによるリードの獲得
営業プロセスを4つに分業する場合、リードの獲得・創出、つまりリードジェネレーションを担当するのはマーケティング部門です。インサイドセールスはMQLとしてリードを引き継ぎ、TQLにアプローチをかけることになります。しかし、インサイドセールスがリードの獲得に動くことがないわけではありません。
インサイドセールスは活動方法によって2種類に分けられます。BDR(Business Development Representative)とSDR(Sales Development Representative)です。このうち、BDRはアウトバウンド型で行なう新規開拓型のインサイドセールスを指します。BDRは何の関係もない大企業やエンタープライズ企業のなかからターゲットを選定し、電話やメール、手紙などで積極的なアプローチを行うリード獲得のための営業活動です。
BDRには高額な商材や利益率の高い商材が向いています。高額な商材を売り込もうとすれば、中小企業よりも大企業を狙うほうがよいでしょう。ただし、大企業は決済システムが複雑であったり、成約までに時間がかかったりといった難点があります。だからこそ、中長期的なリードナーチャリングを行うインサイドセールスにマッチしているといえるでしょう。
BDRと対になるのがSDRです。SDRはインバウンド型のインサイドセールスで、反響型とも呼ばれているように、主にマーケティング部門によるオウンドメディアやセミナーなどへの反響でリードを獲得します。
リードファネルという考え方
インサイドセールスだけでなく、営業プロセスのすべての担当者が共有しておきたい考え方にリードファネルがあります。
認知から成約までの道程
リードファネルとは、漏斗(ファネル)に模した形で顧客の認知から成約(顧客の行動としては購入)に至るまでの道程を確認するために図表化したものです。リードファネルはマーケティングファネルと呼ばれることがありますが、マーケティングファネルはリードファネルよりも広い範囲を示すといえます。
マーケティングファネルには、パーチェスファネルとインフルエンスファネル、ダブルファネルの3種類があり、主にリードに絞って考えるのがパーチェスファネルです。
パーチェスファネルは、漏斗をいくつかのフェーズに分割します。
・認知
・興味や関心
・比較検討
・購入
興味や関心から購入までの間には、欲求や記憶、意思決定も存在します。
リードファネルをしっかりと作って可視化、共有することにより、各フェーズに適した施策の実施やアプローチが可能です。
カスタマージャーニーとの使い分け
フェーズごとの顧客の動きを可視化する手段といえば、カスタマージャーニーが思い浮かぶかもしれません。カスタマージャーニーは、顧客ニーズや心理面を重視して可視化(カスタマージャーニーマップ)する手法です。リードファネルは購入に至る過程をわかりやすくしたものであると同時に、全体的な分析・把握として顧客数の推移を用いるなど似て非なるものとなっています。行動の推移としてはカスタマージャーニーのほうが詳細な設定を行うケースが一般的であり、よりリードの動きにフォーカスしたい場合はカスタマージャーニーを用いるといった使い分けが重要です。
営業プロセス分業化には適切なリード管理が不可欠
営業プロセスの分業化を成功させるには適切なリード管理が欠かせません。営業担当者個人がすべてのプロセスを担当する形態とは異なり、各プロセスの担当者間における連携が成果を左右するためです。リード管理が不十分であれば、情報共有にも支障をきたすでしょうし、リードの引き継ぎやアプローチが適切に行われないおそれがあります。
属人化を回避して営業活動を体系的・効率的に進めるための営業プロセスの分業化が、属人化よりも悪い結果をもたらさないよう、管理体制の構築が必要です。
リードナーチャリングの重要性
リードナーチャリングがなぜ必要なのか?
その理由は以下に示すように複数あります。
リードの囲い込み
リードナーチャリングでリードの囲い込みを行います。情報化社会において、放っておけばリードは独自に情報収集を行い、また他社からのアプローチも多数受けることになるでしょう。しかも、そのスピードは年々アップしているといえるほどで、気付いたときには他社の商材を購入するなど、自社のリードではなくなっているおそれがあります。
自社にとってマイナスとなる情報を収集されないように、他社のアプローチに心が動かないようにするためには、リードを囲い込むことが近道です。適度なアプローチを前提としたリードナーチャリングを通じてリードとの距離を縮め、信頼関係を構築し、リードの課題解決策を提案することが、囲い込みにつながります。
中長期的な商売につなげる
リードナーチャリングは中長期的な商売につなげる取り組みです。BtoBの商材は即決性の高いものが多いとはいえず、とくに大企業などはじっくりと時間をかけて成約に結びつける必要があります。中長期にわたってアプローチとソリューションの提案、そして信頼関係の構築を行うことで、最初はあまり興味がなさそうだった企業であっても、成約に持ち込める確率アップが可能です。
休眠顧客を掘り起こす
リードナーチャリングは休眠顧客の掘り起こしに役立ちます。過去に自社の商品・サービスを使っていたものの現在は使っていない顧客や、自社の提案が採用されなかったリードが休眠顧客となってしまうケースは少なくないでしょう。しかし、取引が終わった顧客や成約に至らなかった顧客であっても、その後の早い時期に競合他社の商品・サービスを導入するケースは珍しくないのが現実です。リードナーチャリングを継続することで、機会損失を防ぐことができます。
人員不足への対応
インサイドセールスによるリードナーチャリングによって、少ないマンパワーで最大の効果を目指せます。さまざまな現場で人員不足が叫ばれるなか、営業現場でも効率的な営業活動が不可欠です。人員不足への対応策として、見込み度の低いリードではなく、TQLをナーチャリングしてSQLにする活動の重要性が増しています。
リードナーチャリングの方法
リードナーチャリングの主な方法としてメールマーケティングとテレアポについて解説し、リードナーチャリングにあたっておさえておきたいポイントを紹介します。
メールマーケティング
メルマガなどのメールマーケティングはリードナーチャリングで重要な方法です。メールはもっとも読まれると推定される時間に送信すべきですが、必要であれば24時間いつでも送信できます。送信時間の予約も可能であり、送りたい時間に送ることが可能です。
メールを受け取る側のリードが何をしていたとしても、電話と違い問題ありません。個人のスマートフォンなどとは異なり、企業のアカウント宛てであれば、着信音が鳴り響くといった懸念点はないでしょう。読む必要がないと思われない限り、時間があるときに読んでもらえます。電話がつながらないリードに対するアプローチ手段としても有効です。
また、メールなら到達数や開封率、URLのクリック数、それぞれの率といったKPIの設定で評価や分析ができます。
テレアポ
テレアポをはじめとする電話は、インサイドセールスと切っても切れないリードナーチャリングの方法です。電話相手であるリードが拒否しない限り、リアルタイムで情報の収集と提供ができます。インサイドセールスのテレアポはテレアポ職とは異なり、アポを獲ることが目的ではありません。リードナーチャリングの一環としての、情報収集やソリューションの提案につなげるものです。
リードナーチャリングのポイント
リードナーチャリングを効果的に行うためには、以下に示すようなポイントがあります。
・収集すべき情報
リードナーチャリングはコミュニケーションであり、情報収集が欠かせません。リードナーチャリングとその後の商談をうまく運ぶためには、BANTCHなどの情報収集が必要です。
予算のBudget、決裁者のAuthority、ニーズのNeeds、検討時期を示すTimingに加え、競合のCompetitor、人的リソースのHuman resourcesの頭文字をとったものがBANTCHで、ソリューションの発案や提案に大きな意味をもちます。
・KPI設定
KPI(重要業績評価指標)は、KGI(重要目標達成指標)が示す最終的な目標に向けた、中間における目標数値や期間などの評価指標です。メールマーケティングであれば、配信数、到達率、開封率、開封数、クリック率、コンバージョン数などがあります。テレアポなど電話であれば、架電数、アポ数、アポ率、商談化数、商談化率、通話時間などです。
・シナリオ・トークスクリプト
インサイドセールスのリードナーチャリングを始めるにあたり、効果的なシナリオやトークスクリプト(台本)を用意しておくことが望ましいといえます。テレアポなど電話の場合は、その場の状況次第で話が逸れる、伝えたいことや聴きたいことが話せないといった事態が起こり得るため、会話品質の向上にはシナリオやトークスクリプトの用意が重要です。
インサイドセールスのリード管理に役立つITツール
インサイドセールスのリード管理には、ITツールの活用が役に立ちます。
CRM
CRM(Customer Relationship Management)顧客関係管理、顧客管理システムは、顧客情報の一元管理、可視化による共有化を可能にし、リード管理に必要な情報をタイムリーに利用できます。情報の更新も簡単です。
SFA
SFA(Sales Force Automation)営業支援システムは、顧客情報の管理に加え営業プロセスや商談進捗、日報管理などインサイドセールスが日々行うリードナーチャリングの管理をサポートします。
MA
MA(Marketing Automation)は、リードの状況に応じたマーケティング施策の自動化を推進できるソリューションです。CRMがどちらかといえば純粋な顧客管理に向いているのに対し、MAはナーチャリングなど幅広くリード管理を効率化します。
コミュニケーションツール
オフィスから外出しない営業職であるインサイドセールスのリード管理において、コミュニケーションツールは役立つだけでなく欠かせない存在です。ZoomやChatwork、Google Meetなどのオンライン商談ツール、Web会議システムなどがあります。
適切なリード管理でインサイドセールスの効果を最大限に!
インサイドセールスの仕事は大きく分けて、リードの獲得とリードナーチャリングです。リード管理が適切であれば、リードナーチャリングをはじめとする業務の効率化が図れ、営業プロセスの各担当者間の連携も円滑に進む期待が持てます。インサイドセールスへの転職を考えているなら、リード管理をしっかりと行うことで効果を最大限にし、TOPを目指しましょう。
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