2025年5月31日公開
最終更新日:2025年5月31日
インサイドセールスの成功事例9選|日米企業の戦略と成果から学ぶ導入・改善のポイントを解説
営業効率の向上や非対面型営業のスタンダード化が進む中、インサイドセールスは必要不可欠な手段とされています。
しかし、現場では「何から始めればよいかわからない」「本当に効果があるのか不安」といった悩みがつきものです。
本記事では、こうした課題に悩む担当者に向けて、インサイドセールスの導入や改善に成功した日本と英語圏の9社の事例をご紹介します。
それぞれの企業が、導入前にどのような課題を抱え、どんな工夫でそれを乗り越え、最終的にどんな成果を得たのかを解説します。
インサイドセールスの立ち上げ・運用方法はもちろん、転職希望者にとってもお役立ちの内容になっているので、ぜひ参考にしてください。
株式会社マネーフォワード|MA連携で商談化件数20倍・工数1/10を実現
株式会社マネーフォワードは、個人と法人向けに金融系ソフトウェアを提供する企業です。
同社は、営業効率の可視化とヒアリング業務の最適化に課題を抱えていました。
マーケティングオートメーション(MA)を活用していたものの、営業担当者は1件につき20分以上をヒアリングに費やし、購買意欲の高いリードへの迅速な対応が困難な状況が続いていたのです。
さらに、ヒアリングした内容をシステムへ転記するという手間もありました。
この非効率を解消するため、同社はヒアリング工程の自動化とホットリードへの即応体制の構築に取り組みました。
まず見込み顧客との初回接点にアンケートフォームを導入し、必要情報を事前に収集する仕組みを構築。これにより、インサイドセールス担当者は顧客の関心や温度感を把握したうえで接触し、商談に直結する会話へと速やかに移行できるようになりました。
加えて、フォーム情報は自動でMAと連携され、ホットリードと判断された案件は営業部門に自動共有される仕組みも整備されました。
その結果、商談化件数は従来の20倍に増加。ヒアリング工数は従来の10分の1まで圧縮され、見逃されていた有望リードへの対応も格段にスピードアップ。インサイドセールスチーム全体の士気向上にも貢献しました。
この事例が示すのは、情報取得と営業との連携の設計が成果のポイントになるということです。
とくにデジタル施策と現場業務をどのようにつなぎ、誰が、何を、いつ拾い上げるのか、を明確にし、円滑に共有できる仕組みづくりが重要になります。
パナソニック インダストリー株式会社|拠点別メルマガ運用で商談化率大幅改善
パナソニック インダストリー株式会社は、産業、情報通信、車載などのさまざまな電子デバイスの開発と生産を行っています。
同社は国内外に多くの拠点を持つがゆえに、顧客対応が各拠点で完結していました。つまり、拠点間の情報連携が行えておらず、情報の形式や質にばらつきが生じていたのです。
その結果、営業提案や顧客体験に一貫性がなく、マーケティング活動にも影響が及んでいました。
この課題を解決するため、同社はまずMAとCRM(顧客管理システム)を導入し、顧客データの一元化に着手します。しかし、単なる統合では成果につながりません。
システム導入後に必要なのは、地域ごとの文脈に即したコミュニケーションの再構築でした。鍵を握ったのは、拠点別にカスタマイズされたメルマガとランディングページの活用です。
たとえば、関西拠点では地場企業向けの事例や工場設備に関する技術情報を発信し、地域特化型の訴求を強化するといった具合です。
その結果、各地域のターゲットが「自分のための情報だ」と感じられるようになり、反応率が向上し、商談化への移行もスムーズになりました。
さらに、この施策が営業担当者の姿勢にも変化をもたらしました。
従来はマーケティング部門任せだったメルマガ運用に、営業が積極的に関与。配信内容やタイミングの調整にも関わることで、部門間の連携が自然と深まっていったのです。
こうした連動が商談化率の向上につながり、拠点単位の取り組みが全社的な成果へと波及しました。
この事例が示すのは、ローカル最適の積み重ねが全体最適を実現するという点です。インサイドセールスの成功には、仕組みの導入だけでなく、現場の実情に即した柔軟な運用と、部門を超えた連携意識が欠かせません。
株式会社カオナビ|3名体制で月100件以上の有効案件を創出
株式会社カオナビは、タレントマネジメントサービスの提供企業です。
同社も、かつてはマーケティング部門との連携が不十分なまま、少人数で商談創出に取り組んでいました。しかし、担当者が経験や勘に頼る体制では、有効な商談数は伸び悩んでいたのです。
こうした状況で同社が注目したのが、Web行動データをもとに課題仮説を構築するアプローチでした。
閲覧ページ数やホワイトペーパーのダウンロード履歴などを分析し、見込み顧客の関心や課題を仮説立てします。営業は作成された仮説をもとに、個別最適な提案を行うスタイルへと移行できました。
この変化によって、アプローチの質が大きく向上したとのことです。
電話やメールは、従来の情報提供型から、顧客の状況に即した課題解決の提案へと転換し、結果的に反応率も向上。月間の有効案件創出数は100件を超えるまでになりました。
注目すべきは、こうした成果をわずか3名のチームで実現している点です。
少人数を理由にせず、行動データを活用してアプローチの精度とタイミングを追求することで、スケーラブルな運用を実現したのです。
さらに、インサイドセールスが得た情報はマーケティング部門に即時フィードバックされ、LP改善やコンテンツ設計に反映されます。両部門間でスムーズに情報共有が行えるようになることで、リードの質も向上し、全体として好循環が生まれました。
この事例が示すのは、成果を左右するのは人数ではなく、仮説思考と接点の質であるという点です。
「リードの数を追うのではなく、的を絞った接触を重ねる」という発想こそが、少人数でも成果を生み続けるインサイドセールスの核心だといえるでしょう。
HubSpot(米国)|営業人材の再現性を高めたプレイブック型組織構築
インサイドセールスを拡張・最適化する過程で、多くの企業が直面するのがインサイドセールス成果の属人化でしょう。
とくに急成長中の企業では、優秀な担当者の個人スキルに依存しすぎるあまり、チーム内で成果にばらつきが生じやすくなります。米国のSaaS企業HubSpotも、急拡大期にこの課題に直面しました。
同社が採った解決策は、プレイブック(営業行動の標準化マニュアル)を軸にした組織設計でした。営業プロセスを個々の経験に任せるのではなく、成果に直結する行動を体系化し、誰もが同じレベルで実践できる環境を支援したのです。
このプレイブックは、単なる手順書ではありません。商談ステージごとの顧客心理や反論対応、業界別の課題と解決案など、現場ですぐに使える知見が盛り込まれています。
さらに、採用・育成・評価にもこの基準を適用し、「誰を採るか」「どう育てるか」「何を評価するか」がすべて連動した仕組みに落とし込まれています。
結果として、特定のエースに依存せずとも成果が出せる体制が構築されました。
新人でも早期に結果を出せるようになり、チーム全体の生産性も向上。データにもとづいた営業活動が全社に浸透し、継続的な改善サイクルが自律的に回るようになったのです。
HubSpotのインサイドセールスのように、再現性の高い仕組みやノウハウを作るためには、メンバーの協力とデータ分析が欠かせません。
パフォーマンスの高いメンバーと低いメンバーのトーク内容やアプローチするまでの時間などを比較したり、各メンバーが持つナレッジを積極的に共有してもらいましょう。
そうすることで、平準化したインサイドセールス組織を構築できます。
Qualtrics(米国)|急成長期の営業体制をスケーラブルに再構築
アメリカの顧客体験管理プラットフォーム企業Qualtrics(クアルトリクス)は、事業成長の過程でインサイドセールスの再構築に踏み切りました。
同社が直面していたのは、製品ラインの多様化と顧客層の拡大により、既存の営業体制では対応が困難になったという構造的課題です。
営業担当が業種や企業規模ごとに個別対応を続けた結果、ノウハウや知見が分散し、営業スタイルも非効率化、成約率の低下を招いていました。
この状況を打開するため、Qualtricsはインサイドセールスを核とする「クロスファンクショナル体制」への転換を決定します。
これはフィールドセールス、カスタマーサクセス、プロダクトチームなど各部門を横断的に連携させ、顧客対応に一貫性と再現性をもたせる構造です。
この体制下で、インサイドセールスは単なるリード獲得にとどまらず、顧客のニーズや商談化の兆候をいち早く察知し、他部門へ橋渡しを行う「情報のハブ」として機能するようになりました。
その結果、部署間の情報共有が円滑になり、営業活動の質とスピードが大幅に向上しました。顧客体験を重視する同社にとって、インサイドセールスは成長戦略の中核的存在となったのです。
特筆すべきは、改革がトップダウンのみでなく、現場主導でも進んだ点です。
インサイドセールスのメンバーが自発的に施策や改善案を提案し、組織全体の学習スピードと適応力が飛躍的に向上しました。
IQVIA MedTech(米国)|インサイドセールス導入により13ヶ月で69万ドルのROIを実現
医療テクノロジー分野でグローバルに展開するIQVIA MedTechは、さらなる事業拡大を目指し、インサイドセールスを構築しました。
当時の課題は、新規アカウントへのアプローチが限定的で、リード創出効率が停滞していたことです。
営業チームは既存顧客との関係性強化に注力するあまり、新規市場への展開が後回しになっていました。このままだと持続的な成長には限界があると判断し、同社はターゲットアカウント戦略を見直し、インサイドセールスの専任チームを新設しました。
インサイドセールスチームは、明確に定義されたペルソナにもとづくターゲティングを実施。業界別インサイトや事例を活用し、パーソナライズしたアプローチを展開しました。
また、SFAやMAとの連携により、営業とマーケティング・インサイドセールスで円滑に情報共有できる環境を構築したことで、アポイントまでの時間、商談化のスピードと質の両面で改善が見られました。
その結果、13ヶ月で69万ドルのROI(費用対効果)を創出することに成功。
新規リードの獲得数は従来比で倍増し、インサイドセールスは営業の主力チャネルとして認知されるようになりました。
注目すべきは、単なるKPI達成にとどまらず、インサイドセールスが事業成長の推進力として社内での存在感を高めた点です。
この事例が示すのは、インサイドセールスを一時的な施策ではなく、継続的に成果を生む仕組みとして構築することの重要性です。
短期の数値に一喜一憂するのではなく、中長期での学習と改善を積み重ねる姿勢が、明確な成果と社内評価につながります。
株式会社ビズリーチ|量より質のKPIで信頼関係重視の商談へ転換
営業組織において、KPIの設計は成果に直結する重要な要素です。
特にインサイドセールスのように量と質の両方が求められる職種では、どの指標を何のために追うのかによって、担当者の行動パターンや組織全体の営業文化が大きく左右されます。
株式会社ビズリーチでも、かつてはKPIが架電件数やメール送信数などの行動量に偏っていました。そのため、インサイドセールスの担当者は、とにかく数をこなすことに注力せざるを得ず、顧客一人ひとりとじっくり向き合う余裕がなくなっていたといいます。
一見すると行動量を増やすことは良い結果を生みそうに見えますが、実際には表面的な接点が増えるだけで、顧客理解の深まりや信頼の醸成にはつながりません。
その結果、フィールドセールスには商談化の可能性が低いリードが大量に供給されることになり、むしろ営業全体の効率が下がってしまうという、皮肉な状況に陥っていたのです。
この課題に対して、ビズリーチはインサイドセールスの評価制度を根本から見直しました。
行動量ではなく、顧客との関係性の深さや商談の質といった定性的な指標を重視する方針へと転換したのです。具体的には、継続的なフィードバックの有無や、提案に対する顧客の納得度、商談後の満足度調査の結果などを評価基準に加えました。
その結果、担当者の行動にも大きな変化が生まれました。数を稼ぐことを目的とするのではなく、目の前の顧客が何を考えているのか、どんな情報を求めているのかを想像しながら丁寧に対話を重ねるスタイルへとシフトしたのです。
こうした姿勢の変化は、数字だけでなく現場の空気にも好影響をもたらしました。顧客からの反応に手応えを感じられるようになったことで、担当者の仕事に対する誇りやモチベーションが高まり、結果として受注率や案件単価の向上にもつながったといいます。
この事例が教えてくれるのは、インサイドセールスの評価を見直すことが、組織全体の営業力を底上げする起点になるということです。
行動量を追い求めるだけでは、本質的な価値は生まれません。顧客との対話の中で信頼を積み重ねていく、その一つひとつの接点に意味を見出すことができて初めて、インサイドセールスは企業の成長を支える存在へと進化していきます。
株式会社カケハシ|ISが全社の顧客インサイトのハブに
営業活動において、顧客との対話から得られる情報は、企業の競争力を支える極めて重要な資産です。日々のやり取りのなかで語られる課題や要望、現場ならではの工夫や違和感。こうした声こそが、次なる施策やプロダクト改善の種となります。
ところが現実には、その貴重な情報がインサイドセールスや営業部門の内部にとどまり、他の部門と共有されずに埋もれてしまうケースが少なくありません。
たとえ情報を得たとしても、それをどう活用するのか、どこに届ければよいのかが仕組み化されていなければ、組織全体にとっての意味は希薄になってしまいます。
調剤薬局向けに業務支援SaaSを提供する株式会社カケハシも、かつてこの課題を抱えていました。
同社のインサイドセールスは、日々の顧客対応を通じて多くのリアルなインサイトを収集していましたが、その情報が十分に社内に共有されず、マーケティングやカスタマーサクセスとの連携が弱かったため、施策の精度やスピードに課題が残っていたのです。
この状況を打破すべく、カケハシはインサイドセールスの役割を再定義しました。
従来のアポ取得や初期対応といった範囲を超えて、顧客インサイトのハブとして機能する存在へと進化させたのです。つまり、顧客の声を拾い上げるだけでなく、それを社内の各部門へとつなぎ、次の打ち手へと変換する中心点としての役割を担わせました。
具体的には、インサイドセールスが顧客との対話を通じて得た情報や気づきを、定期的に社内へフィードバックする体制を整備。マーケティング部門とは密接に連携し、そのインサイトを起点としたセミナーやイベント、コンテンツ制作がすばやく行える運用フローを構築しました。
たとえば、薬局での在庫管理に関する課題が多くの顧客から寄せられた場合、すぐにそのテーマを扱ったセミナーを開催したり、事例資料や提案用コンテンツを整備したりといったアクションが可能になります。
結果として、提供される情報やコンテンツの質が高まり、顧客からの共感や反応も格段に向上しました。
また、カスタマーサクセスとの連携も強化され、既存顧客の声を反映した改善施策や導入支援が次々と実現。顧客接点から得た一次情報が全社で循環し、PDCAが自然と回り続ける文化が醸成されていきました。
このように、インサイドセールスが単なる連絡窓口にとどまらず、情報を社内に流通させ、意思決定や価値提供を加速させる存在となることで、企業全体の顧客理解と実行力が大きく高まりました。
カケハシの取り組みは、インサイドセールスを組織の前線ではなく中核へと引き上げることで、全社のスピードと解像度を底上げできることを証明しています。
名古屋テレビ放送株式会社|IS導入で商談化率30%を達成
名古屋テレビ放送株式会社(メ〜テレ)は、多数の広告商品を扱う中で「誰に・何を・どう提案するか」という営業の精度に課題を抱えていました。とくに、初期接点の質が商談化率に大きく影響していたのです。
この課題の解決を目的として、同社はインサイドセールスを導入。
注力したのは、ヒアリングと提案内容の標準化でした。
インサイドセールスチームは初回接点で確認すべき質問や提案パターンを体系化し、営業の基盤となるナレッジを蓄積します。
これをもとに、業種や商材ごとの「提案の型」を整備し、誰でも再現性の高い提案ができる体制を構築したのです。
さらに、インサイドセールスが得たフィードバックをもとに、ヒアリングシートや提案資料を継続的に改善することで、顧客ニーズや市場変化に即した柔軟な対応が可能となり、接点の質が成果へとつながっていきました。
その結果、地元企業に対する商談化率は30%という高水準を達成。
従来の飛び込み営業や紹介ベースと比較しても格段に高く、インサイドセールスが営業の起点として機能していることが明らかとなったのです。
また、インサイドセールスチームの存在により、営業担当者はクロージングや関係構築といったコア業務に専念でき、全体の業務分担と効率化も実現。
属人的だった提案プロセスは仕組み化され、誰でも成果を出せる営業体制へと変化していきました。
成功事例から学ぶ、インサイドセールス導入のポイント
成功事例からわかるとおり、成功するインサイドセールス組織にはいくつかのポイントがあります。以下では、インサイドセールス導入のポイントを整理しましょう。
KPIは量より成果に直結させる
インサイドセールスの立ち上げ初期に多くの企業が陥るのが、架電数やメール送信数といった行動量に偏ったKPIの設定です。
一見すると、行動量の可視化により活動状況を把握しやすくなるように思えますが、実際には数をこなすことが目的化しやすく、担当者の行動は作業的になってしまいがちです。
このような環境では、インサイドセールスが本来担うべき役割、つまり商談の質を高めることや顧客との信頼関係を構築することが後回しになります。
成果につながらない接点が増えるばかりで、営業部門に対して価値あるリードを届ける機能が形骸化してしまうリスクすらあるのです。
では、成果に直結するKPIとはどのようなものでしょうか。
成功している企業では、量ではなく接点の質を可視化する指標へとシフトしています。
具体的には、商談化率や有効フィードバックの獲得数、さらには商談後の顧客満足度といった、顧客とのやりとりがどれだけ価値あるものであったかを測る定性的なKPIが導入されています。
このような評価基準を取り入れることで、インサイドセールスの目的が単なるアポイントの獲得ではなく、リードのナーチャリングや商談化可能性のスクリーニングにあるという意識が、組織全体に浸透していきます。
結果として、顧客との対話の質が向上し、営業が受け取るリードの精度も高まります。その連鎖が、最終的には受注率や案件単価の向上につながるという、好循環が生まれていくのです。
KPIを変えることで、現場の行動が変わる。そして行動が変われば、結果も変わっていく。
もし自社のインサイドセールスが「数は追っているが成果につながらない」と感じているなら、それはKPIの見直しどきかもしれません。
ツール連携と部門連携が仕組み化のカギ
MAやCRM、SFAといった営業支援ツールを導入する企業は、ここ数年で確実に増えてきました。デジタル化の流れを受け、業務効率や顧客接点の可視化に取り組む姿勢は広がりつつあります。
しかしながら、それだけでインサイドセールスの成果が上がると考えるのは危険です。
どれだけ高機能なツールを導入しても、それが使われなければ意味がありません。あるいは、特定の部門内だけで閉じた運用になっていれば、むしろ情報の断絶を加速させてしまうリスクすらあります。
では、どうすればツールを仕組みとして機能させ、成果につなげられるのでしょうか。
それは、マーケティング・営業・カスタマーサクセスなど、部門をまたいだ日常的な連携体制を築くことにあります。つまり、ツールを使うことが目的ではなく、それを通じて人と情報をつなぐ構造をつくることが本質なのです。
たとえば、インサイドセールスが検討フェーズにある顧客とのヒアリングを通じて得た一次情報をMAに記録し、そこから得られたスコアや関心テーマをSFAへ自動連携させ、営業が的確な提案につなげられます。
さらに、成約後の活用状況や課題感をカスタマーサクセスが追いかけ、再びマーケティングへとフィードバックされる。こうした循環が整備されている状態こそが、成果を生む仕組みといえます。
成功企業に共通するのは、インサイドセールスが単なるアポイント取得担当にとどまらず、情報のハブ、すなわちナレッジの起点として組織全体を支えているという点です。
顧客の行動や声を誰よりも近くで受け止め、それを他部門と共有し、施策やコンテンツ、営業資料に変換していく。その繰り返しが、顧客理解の深さを生み、結果として企業全体の競争力を押し上げているのです。
商談化を左右するのは顧客理解と接触タイミング
インサイドセールスの価値は、単にリードにアプローチすることではありません。
その真価は、「誰に」「いつ」「どんな話をするか」を見極め、最適なタイミングで最適な提案を届ける力にあります。
これを実現するためには、Web行動やスコアリングといったデータ分析が有効です。
一例をあげると、メールマガジンを3回連続で開封したのち、事例や料金ページを閲覧しているユーザーは、極めて興味関心が高い状態にあると考えられるため、インサイドセールスが迅速にアプローチするべきでしょう。
一方で、トップページやサービス概要を見ているだけのリードは、まだ購買意欲が高まっていないため、焦って架電をするべきではありません。興味関心段階のリードには、メールマガジンやウェビナーなどでじっくりとナーチャリングする手法が有効です。
こうしたデータの背景にある意図を読み取り、適切なタイミングで価値あるメッセージを届けるには、各インサイドセールス担当者が仮説思考と高速なPDCAサイクルを回す姿勢が求められます。
データから相手の状況を想像し、伝えるべきこと・伝える順番・提案の温度感までを設計する。まさに行動心理を扱うマーケターのような発想が不可欠です。
実際に成果を上げている企業の多くでは、インサイドセールスが担当するフェーズを運用ではなく設計として捉えています。
インサイドセールスは仕組みと連携で成果を生む
本記事では、インサイドセールスで成果を出している企業の事例を見てきました。
成功企業に共通する点はいくつかありますが、特に重要なのがKPI設定、部門間の情報共有体制、データにもとづく顧客理解の3つです。
成功している企業ほど、行動量ではなく成果に直結するKPIを設定し、マーケティングやカスタマーサクセスとの連携体制を整えています。
そのうえで、インサイドセールスの真価を決めるのが顧客の心理を読む力と最適なタイミングで価値を届ける力です。リードの行動から仮説を立て、接点の質を磨き続ける思考と実行のサイクルを回せる人材こそが、インサイドセールスの領域で一歩抜きん出る存在になっていきます。
その意味で、インサイドセールスは営業とマーケティングの両方を横断する、やりがいのある職種です。データを活かし、人間を理解し、部門を動かす。そんな実践を通じて、自分自身のスキルもキャリアも広がっていくはずです。
いま、インサイドセールスへのニーズは確実に高まっています。組織の中核を担う存在として、経験を積める企業も続々と増えています。だからこそ、このタイミングで第一歩を踏み出すことが、今後のキャリアを大きく左右する分岐点になるかもしれません。
インサイドセールスへの転職を考えているのなら、まずは転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。
9Eキャリアインサイドセールスの転職支援サービスでは、インサイドセールス職を募集する企業の裏側まで熟知したエージェントが転職を支援いたします。
さらに、応募書類作成のサポートや企業ごとの面接対策など徹底した伴走型の転職支援を提供。「書類も面接もこれまでより通過率がダントツに上がった」「年収交渉をしてもらい希望年収が叶えられた」などクチコミでも高い評価をいただいています。カスタマーサクセス職での転職を成功させたい方はぜひ以下ボタンから面談予約してください。
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