2025年5月30日公開
最終更新日:2025年5月30日
最高の成果を出し続けるインサイドセールス組織の作り方|立ち上げから定着までのポイントを徹底解説
営業効率の最大化や見込み顧客の育成に欠かせない存在として注目を集めているインサイドセールス。
しかし、「組織として立ち上げたいが何から手をつければいいかわからない」「人材の確保やKPI設計がうまくいかない」と悩む企業も少なくありません。
本記事では、インサイドセールスの立ち上げから運用定着、そして成果を出し続ける体制構築までを、5つのステップに分けて徹底解説します。
インサイドセールス組織立ち上げ担当者はもちろん、転職希望者にも有益な内容ですので、ぜひご参考にしてください。
インサイドセールスとは?役割と重要性を改めて整理
インサイドセールスとは、電話・メール・オンライン会議などを通じて見込み顧客と接点を持ち、商談の創出や関係構築を行う内勤型の営業活動です。
訪問を前提とするフィールドセールスとは異なり、オフィスや自宅からリモートで対応します。
単なる非対面でアポを取る業務ではなく、見込み顧客を段階的に育成し、受注確度を高めるナーチャリングの中核を担う点が本質です。
なぜ今、インサイドセールス組織を立ち上げる企業が増えているのか
ここでは、インサイドセールス組織を立ち上げる企業が増えている2つの理由を整理します。
商談獲得効率の改善と営業リソース最適化
従来の営業は訪問・移動を前提とする労働集約型で、非効率な案件にも時間とコストがかかる課題がありました。
特にBtoBでは商談までの期間が長く、限られた人員で全リードに対応するのは困難です。そこで、初期接触や情報提供を担うインサイドセールスを導入し、営業全体の生産性を上げる企業が増えています。
また、リードの温度感を見極めてから商談化することで、無駄な訪問を減らし、営業は確度の高い案件に集中できるようになります。
中長期のリード育成とABM施策との連携
インサイドセールスが注目されるもう一つの理由は、リードナーチャリングにおける役割です。
たとえば、資料請求やウェビナー参加などのアクションを取ったが商談に至らないリードに対し、定期的に接触して情報提供や状況確認を行い、信頼を築きながら受注機会を逃さないようにします。
この継続対応は、フィールドセールスには手が回りにくいため、専任体制の価値が高まります。
また、インサイドセールスはABM(Account Based Marketing)との連携にも不可欠です。
ABMとは、重点企業ごとに個別最適化したアプローチを行う手法で、関係者単位での接点設計が求められます。インサイドセールスは、こうした戦略的コミュニケーションを支える柔軟なチャネルとして機能します。
【ステップ別】インサイドセールス組織の作り方
インサイドセールス組織の作り方を5ステップに分けて解説します。
STEP1:課題・目的・KPIの明確化
最初にすべきは、目的の明確化とKPI設計です。
「営業効率を上げたい」といった曖昧な目的では、評価も成果測定もできません。自社の課題を具体化し、インサイドセールスがどう解決するかを明確にしたうえで、役割とKPIを設計します。
たとえば、以下のようなKPIです。
- 週次の架電件数
- 対応リード数
- 商談化までの期間
- 案件化率
- 月間商談数
ただし、量だけを追うと本質を見失うため、質の指標も必要です。
- ヒアリングの深度
- CRM入力の精度
- 顧客満足度
- 営業への引き渡しのスムーズさ
これらは営業側の評価やロールプレイ、顧客アンケートなどで補完できます。定量・定性の両軸でKPIを設計し、初期から質も見る体制を整えるようにしましょう。
STEP2:体制設計と役割分担の整理
インサイドセールスを成功させるには、「誰が何を担当するか」を明確にする体制設計が不可欠です。
各部門の役割が曖昧だと、リードの取りこぼしや顧客体験の断絶が起こり、成果につながりません。逆に、役割と連携が明確であれば、組織全体のパフォーマンスは大きく向上します。
基本的な役割分担は以下の通りです。
- マーケティング:リード創出
- インサイドセールス:ナーチャリング・クオリフィケーション
- フィールドセールス:商談対応
この分担を踏まえた組織モデルは主に3つに分類されます。
重要なのは、どのモデルでも「誰が、どのフェーズで、何を引き継ぐか」を明文化し、全社で共有することです。
たとえば、リードステータス管理やパス条件、引き継ぎ時の情報要件をテンプレート化することで、属人的な対応を防ぎ、再現性ある営業体制が築けます。
STEP3:インサイドセールス人材の確保
インサイドセールスの成否は人材にかかっています。どれだけ戦略を整えても、顧客と信頼を築くのは現場の対応力です。
社内からアサインする場合は、業務理解が早くカルチャーフィットしやすいメリットがありますが、適性の見極めが不可欠です。一方で、新規採用では営業やカスタマーサポート経験者が有力候補です。
理想の人材は、傾聴力・共感力・論理的思考・自己管理力を備え、非対面でも相手の反応を読み取って柔軟に対応できる対話力を持つ人物です。
STEP4:スクリプト・ツール・対応フローの整備
インサイドセールスの成果を安定させるには、業務の標準化が欠かせません。
立ち上げ期は属人化しやすいため、スクリプト・ツール・対応フローの整備を行いましょう。
- スクリプト:会話設計の基盤
- ツール(CRMやMA):は情報共有と対応漏れ防止に有効
- 対応フロー:品質を保つためのルール
STEP5:KPI運用とPDCA体制の構築
継続して成果を創出するためには、KPIを評価ではなく行動指針として活用し、PDCAを習慣化することが重要です。
まずKPIの進捗を定例会などで共有し、ヒアリングの質や入力精度など定性指標も含めて可視化します。
次に、改善を促す仕組みとして、振り返りの場や提案を歓迎する文化を整え、現場の気づきを制度化するようにしましょう。
この仕組みは、メンバーの成長実感やエンゲージメント向上にもつながり、育成効果も高まります。
成果を出すインサイドセールス組織の作り方ポイント
ここでは、成果を出すインサイドセールス組織構築のポイントをお伝えします。
適切なツールを導入する
ツールを導入することで、少人数でも多くのリードに対応できるようになります。
中核はCRMで、顧客との接点情報やコミュニケーション履歴を一元管理し、各部門と円滑に共有することが可能です。
SFAやMAを連携すれば、リードの行動に基づくスコアリングや通知が可能になり、対応の精度が向上します。
また、通話録音やスクリプト管理ツールにより、会話の質を可視化・共有し、改善に活かせます。立ち上げ期こそ、成果事例を記録し、全体に展開する仕組みが重要です。
部門間の連携を強化する
インサイドセールス組織の効果を最大化するためには、部門間の分断をなくし、共通の目標と情報で連携できる体制が欠かせません。
たとえば、マーケとの連携が弱ければ質の低いリードが増え、営業との連携が不十分なら信頼構築が崩れます。こうした連携ミスは顧客放置や成約率の低下につながります。
連携強化には、まずインサイドセールスの役割理解が重要です。マーケには質重視のフィードバックを、営業にはリード育成基準や引き継ぎ情報を明確に伝えることで、無駄や属人化を防げます。
また、全体会議や横断プロジェクトを通じて、背景や課題を共有することで、チーム全体が同じ目的に向かって動けるようになります。
自社製品の理解を深める
インサイドセールスに必要なのは、話術よりも製品サービスが顧客にもたらす価値を伝える力です。
特にBtoBでは、製品機能ではなく課題解決やベネフィットが重視されるため、表面的な知識では不十分でしょう。
そのため、成功事例や導入前後の変化、顧客の声といったリアルなストーリーに触れ、説得力のある提案を行えるようにしましょう。
また、商談録音や顧客インタビュー、問い合わせログなど、他部門からの情報も価値訴求を支える重要な材料です。
架電数を重視する
立ち上げ初期において、重要なKPIの一つが架電数です。
最終的な成果は質ですが、接触量がその基盤になります。まずは一定量の行動を重ね、データと経験を蓄積することが先決です。
架電を重ねることで、リストの精度やスクリプトの改善、対応パターンの把握など、組織的な知見が得られます。
量の追求は目的ではなく、改善の材料を得るための手段です。数をこなし、そこから質を高める。このプロセスが成果を再現する土台になります。
インサイドセールス組織作りに欠かせないに必要な人材・スキル・育成の考え方
ここでは、インサイドセールス組織の中核を担う人材について見ていきましょう。
求められる人物像とスキルセット
インサイドセールスには、非対面で信頼を築き、課題を引き出す対話力と判断力が求められます。以下のような、従来の営業とは異なるスキルが必要です。
- 声のトーンや間から相手の意図を読み取る傾聴力
- 課題に応じた会話を構成する論理的思考力
- 自律的に行動できるセルフマネジメント力
- ナレッジを共有する姿勢も成果
単なるテレアポではなく、中長期的な関係構築を意識できてこそ、インサイドセールスは専門職として価値を発揮します。
新たに人材を獲得するのがおすすめ
インサイドセールス立ち上げ初期は、未経験の社内人材よりも経験者の採用を推奨します。
理由は、ロールモデルが不在の中で未経験者を育成するのは困難で、教育コストや離職リスクが高いためです。傾聴力や共感力などの適性も見極めが難しく、配属判断を誤ると成果につながりません。
経験者を軸に組織と教育体制を整える方が、スムーズかつ再現性のある立ち上げにつながります。特にSaaSやIT業界出身者は、即戦力として適しています。
インサイドセールス組織の作り方に失敗する理由とその対策
ここでは、インサイドセールス組織作りにおけるよくある失敗とその対策を紹介します。
よくある失敗①:連携不全で放置リードが増える
インサイドセールスの失敗例に多いのが、連携不十分のまま運用を始め、リードが放置されるケースです。マーケ・インサイド・フィールド間で役割や引き継ぎ基準が曖昧だと、優先度が不明確になり、ホットリードを逃す原因になります。
これを防ぐには、リードのステータスやパス変更条件を明文化し、判断基準の統一を図ることが重要です。たとえば「スコア○点以上かつ意思決定者と接触済み」など、具体的な条件を設定します。
あわせて、CRMで履歴を一元管理し、担当変更後も顧客理解が継続できる体制を整えましょう。さらに、定例会やフィードバックを通じて、連携課題を定期的に見直す文化づくりも欠かせません。
よくある失敗②:KPIだけで評価されてモチベーション低下
KPIだけでインサイドセールスを評価すると、商談につながらないリードばかりが増えるリスクが生じます。これは営業の負担を増やすことになり、本末転倒です。
また、ナーチャリングのように成果が見えにくい業務は評価されにくく、モチベーションの低下や離職につながりやすくなります。
感情労働の側面が強い職種であるため、定性的な評価も欠かせません。
信頼関係の構築、ナレッジの共有、CRMへの正確な入力といった項目を評価指標に加えることで、よりバランスの取れた評価が可能になります。
よくある失敗③:採用した人材が定着しない
インサイドセールスは離職率が高く、株式会社immedioの調査によると、約6割が18カ月以内に退職しています。主な要因は、成果の見えにくさ、業務上の孤独感、そしてナーチャリング業務によるモチベーションの低下です。
この課題に対する対策として、商談化だけでなく、良質な会話や顧客からの感謝といったプロセス自体も評価・共有し、承認される環境を整えることが重要です。
また、購買意欲が低い、あるいは自社との関連性が薄いリードばかりが供給されると、成功体験を積む機会が減り、不満や負荷の原因になります。したがって、戦略に沿った質の高いリードの提供も不可欠です。
インサイドセールス組織の作り方は「フェーズ・連携・人材」がカギ
インサイドセールスの組織づくりでは、適切な設計、部門間の連携、そして何よりも人材の確保が成功のカギとなります。
中でも人材の重要性は高く、多くの企業が即戦力の確保に苦戦しているのが現状です。これは裏を返せば、インサイドセールス職への転職を考える人にとっては追い風とも言えます。
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