2025年6月3日公開
最終更新日:2025年6月3日
インサイドセールスに適した業界や商材は? 導入するメリットや注意点も解説
インサイドセールスには、営業活動の効率化やコスト削減といった多くのメリットがありますが、実際にはどのようなビジネスで導入されているのでしょうか。
この記事では、インサイドセールスに適した商材や業界について解説します。企業がインサイドセールスを導入するメリットや、導入時の注意点なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
インサイドセールスとは
インサイドセールスとは、「内勤営業」を意味する言葉で、オフィス内で完結する営業活動のことを指します。電話やメール、Web会議ツールなどを用いて見込み顧客にアプローチを行い、商談の機会を獲得することがインサイドセールスの役割です。
インサイドセールスの主な特徴
- 電話やメール、Web会議ツールなど非対面の営業手法を用いる
- 見込み顧客の育成と商談化を目的とする
- 営業活動の効率化とコスト削減が可能
インサイドセールスは、外勤型のフィールドセールスとは異なり、顧客と直接対面する必要がありません。移動コストがかからないため、同じ時間内でより多くの顧客に営業活動が行えます。
インサイドセールスとフィールドセールスの比較
項目 | インサイドセールス | フィールドセールス |
---|---|---|
主な活動場所 | オフィス内、自宅(リモート) | 顧客先 |
コミュニケーション方法 | 非対面(電話、メール、Web会議ツールなどを利用) | 対面(実際に会って提案や説明を行う) |
移動時間 | なし | あり |
特長 | 効率的に多数にアプローチできる | 密にコミュニケーションがとれる |
インサイドセールスに向いている商材は?
インサイドセールスはメリットの多い営業手法ですが、商材によって向き不向きがあります。インサイドセールスと相性の良い商材の特徴を以下にまとめました。
- サブスクリプション型の商材
- 無形商材
- 料金体系がシンプルな商材
- 導入しやすい価格帯の商材
- 多数のリードが見込める商材
サブスクリプション型の商材
サブスクリプション型の商材とは、月単位や年単位の契約を結んで利用するサービスのことです。業務ツールやセキュリティシステムなど、継続的に利用することを前提とした商材が該当します。
無形商材
無形商材とは、物理的な形を持たない製品やサービスのことです。ソフトウェアやクラウドサービスといったIT商材は、実際に手に取って確認する必要がないため、非対面でも効果的なアプローチが可能です。
料金体系がシンプルな商材
インサイドセールスでは、非対面のコミュニケーションが中心となるため、複雑な説明を必要としない商材の方が顧客に受け入れられやすいです。料金体系がシンプルで分かりやすい商材は、導入の敷居が低くなります。
導入しやすい価格帯の商材
低単価商材の場合、顧客は検討時に効率性を重視する傾向があります。実際に直接会って話を聞くよりも、電話やメールで情報を得る方が負担にならないため、インサイドセールスの手法がフィットします。
多数のリードが見込める商材
インサイドセールスは、ターゲット顧客が多い商材向けの営業手法です。なぜなら、多くの顧客に効率的にアプローチできることが、インサイドセールスの利点だからです。市場規模が大きい商材やニーズの高い商材に適しています。
インサイドセールスに不向きな商材は?
インサイドセールスと相性の良い商材がある一方で、インサイドセールスの成果が出にくい商材も存在します。インサイドセールスに向かない商材の特徴を以下に挙げます。
- 複雑な仕様の商材
- 高価格帯の商材
- 実物の確認が必要な有形商材
- 市場に認知されていない商材
- ターゲット顧客が限られている商材
複雑な仕様の商材
複雑な仕様の商材は、口頭で説明しても理解されにくく、その魅力を伝えるのは困難です。開発案件など、顧客ごとに詳細なカスタマイズが必要な商材も、インサイドセールスでは扱いづらいです。
高価格帯の商材
顧客は高額な買い物に対して慎重になります。インサイドセールスは非対面という性質上、深い信頼関係を築きにくいため、商談化までに長い時間を要することや、成果につながらないことがあります。
実物の確認が必要な有形商材
実際に触れたり、体験したりすることが重要な有形商材は、インサイドセールスに向いていません。素材感や香り、使い心地などが購入の決め手となる商材は、実物を手に取ってみる必要があるからです。商材の価値を言葉だけで伝えるのは難しいため、インサイドセールスでは期待する成果が得られにくいでしょう。
市場に認知されていない商材
新規性の高い商材は、顧客にその価値を理解してもらうまでに時間がかかります。具体的なイメージを持ってもらうところから始めなければならないため、一件当たりの対応時間が長くなります。インサイドセールスよりも、柔軟に説明ができるフィールドセールスの方が向いている場合があります。
ターゲット顧客が限られている商材
ニッチな市場で、ターゲット顧客が限られている商材は、インサイドセールスには不向きです。多くの見込み顧客に対して効率的にアプローチできるというインサイドセールスの強みを活かすことができないためです。
インサイドセールスと相性の良い商材の具体例
これまでの内容を踏まえて、インサイドセールスに適した商材の具体例を以下に挙げます。
- SaaS製品(各種ビジネスツール、Web会議システム、ビジネスチャットなど)
- クラウドサービス(サーバー、ストレージ、プラットフォームなど)
- ソフトウェア(セキュリティソフト、会計ソフトなど)
- Webサービス(Web制作、広告、SEO対策など)
- 月額制サービス(情報提供サービス、オンライン学習サービスなど)
- コンサルティングサービス
- 不動産
- 保険
- 投資関連
インサイドセールスは、IT業界やSaaSビジネスを中心に、様々な業界へ広がりを見せています。近年では、不動産業界や金融業界、製造業などでもインサイドセールスの導入が進んでいます。
インサイドセールスの導入が進んでいる業界と活用事例
インサイドセールスの導入で成果を上げている業界と活用事例を紹介します。「IT業界」「不動産業界」「医療業界」「製造業界」の4つの業界の現状を解説します。
IT業界
IT業界におけるインサイドセールスの導入は、近年ますます重要性を増しています。インサイドセールスは、特にSaaS製品やサブスクリプション型ビジネスと相性が良く、オンラインツールやクラウドサービス、セキュリティシステムなどを提供する企業で導入が急拡大しています。
IT業界で扱う商材の多くはBtoB向けであり、購入決定に至るまでのリードタイムが長い傾向があります。そのため、時間をかけて顧客と信頼関係を構築し、購買意欲の促進を図るインサイドセールスは有効な策となります。
実際にインサイドセールスの導入で成果を上げている企業は多く、今後も導入がより一層増えていくことが予想されます。
不動産業界
不動産業界では、物件の売買や賃貸にインサイドセールスが用いられています。時間をかけて物件を検討する顧客が多いため、インサイドセールスの営業アプローチがフィットします。
例えば、顧客に対して、最新の物件情報や不動産に関するお役立ち情報を継続的に届けることは、購買意欲を高めることにつながります。また、ホットリードを絞り込んでアプローチしたり、遠隔地の顧客に営業活動を行ったりすることもできるため、成功すれば売上アップが期待できます。
医療業界
医療機器メーカーや製薬会社、医療検査サービス提供企業など、医療業界においてもインサイドセールスの導入が進んでいます。新しい医療機器や検査サービスの提案などに用いられ、その効果が広く認識され始めています。
具体例を挙げると、医療機器の営業では以下のようなプロセスを通じてインサイドセールスを進めていきます。
- 新しい医療機器の特徴をまとめた資料や活用情報を顧客に送付する
- 電話で顧客の課題やニーズをヒアリングする
- 電話やビデオ通話で医療機器の説明を行い、特徴や利点を伝える
- 顧客の購買意欲が高まった段階でアポイントを打診する
医療機器は、実際に見て触れて確認したいというニーズが強い商材です。そのため、展示会やセミナーへ誘導したり、訪問して実物を試す機会を作ったりするなど、ハイブリッドなアプローチが成功のカギとなります。
製造業界
アナログな職場環境が指摘されがちな製造業界ですが、DX推進を機にインサイドセールスを導入する企業が少しずつ増え始めています。これまで接触機会を持てなかった遠隔地の顧客へのアプローチが可能になったことで、自社製品の市場拡大に成功した事例もあります。
また、インサイドセールスの導入は、製品の開発や改善にも役立ちます。ヒアリングで得た顧客の生の声を収集し、開発に反映していくことで、市場に求められる製品を生み出すことができます。
製造業界では、インサイドセールスがまだそれほど浸透していないため、早い段階で導入すれば、競合他社との差別化やシェア拡大が期待できるでしょう。
企業がインサイドセールスを導入するメリット
インサイドセールスの導入によって得られる効果やメリットを解説します。
効率的に営業活動を行える
インサイドセールスは、電話やメール、オンラインツールなどをコミュニケーション手段とする非対面の営業手法です。顧客先に足を運ぶ必要がなく、移動時間がかからないため、その分多くの顧客にアプローチできます。
また、見込み度合いを評価し、受注確度の高い顧客に集中して営業活動を行うことで、効率的に成果につなげられます。
コスト削減につながる
インサイドセールスは、多数の顧客に効率的にアプローチできるため、少ない人員でも成果を上げることができます。営業担当者の配置を見直し、最適化を図ることで、人件費の削減が期待できます。
また、インサイドセールスでは移動コストがかからないため、交通費や宿泊費、日当などの営業経費が大幅に削減されます。
成約率や受注率の向上が期待できる
インサイドセールスでは、リードナーチャリングを徹底して行い、受注確度の高い顧客をフィールドセールスに引き渡します。購入を前向きに検討している顧客に絞って商談ができるため、成約数や受注数の向上につながります。
適切なタイミングと方法でアプローチできる
顧客の関心度合いや検討状況に応じて、アプローチ方法を選択できることもインサイドセールスのメリットです。メールマガジンや資料の送付、セミナーへの招待、電話によるヒアリングなど、複数の選択肢があります。適切なタイミングと方法で顧客にアプローチすることで、効率的に成果を上げることができます。
失注後の再アプローチがしやすい
インサイドセールスは、顧客の負担にならない方法で接触を図れるため、商談が失敗しても再アプローチがしやすいです。失注後に顧客先を再度訪問するのは容易ではありませんが、メールマガジンや資料の送付であれば、再アプローチのハードルが低くなります。顧客との接点を保ち続けることで、再び商談化につながる可能性もあります。
データを活用して戦略を最適化できる
インサイドセールスでは、SFAやCRMなどのツールを用いて情報を一元的に管理するため、営業活動のデータ収集や分析が容易に行えます。得られた結果を戦略や施策に反映し、インサイドセールスの質を高めていくことで、より大きな成果につなげられます。
インサイドセールスを導入する際の注意点
インサイドセールスを導入する際に、知っておきたいポイントや注意点を紹介します。
立ち上げにはコストや時間がかかる
インサイドセールスを新規に立ち上げる場合、ある程度の時間やコストがかかることを認識しておく必要があります。体制構築や人材の確保、ツールの選定などやるべきことは多岐に渡ります。
インサイドセールス立ち上げ時にやること
- 営業部門の体制構築
- 人材の採用、育成
- 営業プロセスと役割分担の明確化
- 具体的な目標やKPIの設定
- ツールやシステムの検討と導入
- マニュアルやトークスクリプトの作成
- 評価制度の策定
自社にインサイドセールスのノウハウが全くない場合は、独自に知識を得ながら手探り状態で進めることになります。費用はかかりますが、コンサルティングサービスに支援を依頼するなど、外部のサポートを活用するのも一つの方法です。
人材育成の取り組みが必要
インサイドセールスの成果は、担当者のスキルに大きく左右されます。成果を上げるには、人材育成の取り組みが不可欠です。
人材育成の方法としては、研修やロールプレイングを行うことが一般的です。定期的なトレーニングとフィードバックの繰り返しがスキルアップにつながります。インサイドセールスでは壁にぶつかることも多いため、担当者のモチベーションを保つための声掛けや環境作りも大切です。
インサイドセールス人材は不足傾向にあり、即戦力になる経験者を確保するのはなかなか難しい状況です。未経験の人材を一から育てることも想定して、人材育成の仕組みや制度を構築しておくといいでしょう。
対面営業と比較して顧客との関係構築が難しい
インサイドセールスは、非対面の営業手法を用いるため、顧客の信頼を獲得するまでに時間がかかる傾向があります。フィールドセールスのようにお互いの顔を見て、表情や雰囲気を感じ取りながら話すことができないので、相手との距離を縮めるにはコミュニケーションのテクニックが必要です。
具体的なテクニック例としては、電話で好感を持ってもらえる話し方を意識する、メールマガジンにオリジナルのメッセージを添える、適切な頻度でアプローチするなどが挙げられます。
可能であれば、Web会議システムなどのツールを利用して、オンラインで対面して話をする機会を設けることも信頼を築く上で効果的です。
インサイドセールスの適性がある人材の特徴
最後に、インサイドセールス人材を採用する際のポイントを紹介します。即戦力となる経験者を採用できればベストですが、人材不足が常態化しており、難しい状況となっています。人材確保を急ぐ場合は、ポテンシャルのある未経験者を採用対象に含めることを検討してみるといいでしょう。
インサイドセールスの適性がある人材の特徴
- 営業やマーケティング、電話応対業務の経験者
- コミュニケーション能力が高い人
- 電話応対に苦手意識がない人
- ポジティブ思考で打たれ強い人
- 目標達成意欲が高い人
- テキパキと効率的に業務を遂行できる人
インサイドセールスは営業職なので、人によって向き不向きがあります。インサイドセールスで活躍できる人材であるか、適性を見極めることが大切です。
インサイドセールスは幅広い業界で導入が進んでいる
この記事では、インサイドセールスに適した商材や業界、企業が導入するメリットなどを紹介しました。営業活動を効率化できるインサイドセールスは、今後も様々な事業で導入が進んでいくことが予測されます。
高性能なツールも続々と登場しており、さらなる効率化や成果向上が期待できるでしょう。
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