2025年2月28日公開
最終更新日:2025年2月28日
インサイドセールスってどんな仕事? 業務内容・営業フロー・転職に必要なスキルを解説
DXやSaaSビジネスの拡大により、多くの企業が効率的な営業活動を実現する手段としてインサイドセールスを導入しています。
法人営業の経験者や営業スキルを活かして転職を考えている人にとって、その業務内容や求められるスキルを知ることは、キャリア選択の重要なポイントになります。
しかし、「フィールドセールスとの違いは?」「業務フローは?」「未経験でも転職できる?」など、具体的なイメージが湧かず不安を感じる人も少なくありません。
本記事では、インサイドセールスの業務内容を一覧で整理し、営業プロセスや1日の業務フローを詳しく解説します。また、成果を出すために必要なスキルや、未経験からの転職成功のポイントも紹介。
インサイドセールスの実態を理解し、自分のキャリアにどう活かせるかを考えるきっかけになれば幸いです。
▼インサイドセールスの概念、基本的な考え方や活動内容についてはこちらの記事で総合的に解説しています。
「インサイドセールス」って何? 定義や役割、職種の特徴や他の営業職との違い、将来性などまとめて解説!
インサイドセールスとは? 業務内容の全体像
インサイドセールス(内勤営業)とは、オンラインのコミュニケーション手段(電話、メール、チャット、Web会議ツールなど)を活用し、見込み顧客をナーチャリング(育成)しながら商談機会を創出する営業活動です。
対面営業(フィールドセールス)とは異なり、物理的な移動を伴わないため、効率的かつ広範囲にアプローチできます。
特にSaaSやIT業界では、営業プロセスの最適化やリモートワークの普及を背景に、インサイドセールスの導入が加速しています。その役割はアポイント獲得にとどまらず、顧客の課題やニーズを深く理解し、適切な情報提供を行うことで、長期的な信頼関係を構築することにあります。
たとえば、あるBtoB企業で「自社のソリューションに興味がありそうなリードがいるが、今すぐの導入は難しい」といったケースがあったとしましょう。従来の営業であれば、「またタイミングが合えば連絡ください」として終わってしまうかもしれません。
しかし、インサイドセールスは違います。この段階でリードをナーチャリングし、顧客の興味を持続させながら最適なタイミングで商談に結びつけるのです。
インサイドセールスのもう一つの重要な役割は、「マーケティングと営業をつなぐ架け橋」になること。マーケティング部門が獲得したリードをそのまま営業に渡しても、全員が商談に進むわけではありません。
ここでインサイドセールスが介在し、リードを精査(クオリフィケーション)します。このプロセスを経て、商談化の可能性が高いリードのみをフィールドセールスに引き渡すため、営業チームの効率が大幅に向上します。
インサイドセールスの業務内容は大きく2つに分けられる
インサイドセールスと一口に言っても、その業務内容は大きく 「Pull型(インバウンド型)」 と 「Push型(アウトバウンド型)」 に分類されます。
簡単に言うと、Pull型は「興味を持ってくれた顧客にアプローチする営業」、Push型は「まだ興味を持っていない顧客に興味を持たせる営業」です。
どちらが優れているというわけではなく、自社の営業戦略やターゲットに合わせて適切な手法を選ぶことが重要です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう
Pull型(インバウンド型)
Pull型インサイドセールスは、すでに自社に興味を持っている見込み顧客にアプローチする手法です。マーケティング施策を通じて獲得したリードに対し、関係を構築しながら購買意欲を高め、最適なタイミングで商談へと誘導します。
たとえば、以下のようなリードがPull型の対象となります。
・Webサイトで資料請求をした人(すでに課題解決のために情報を探している可能性が高い)
・セミナーやウェビナーに参加した人(関心が高いが、まだ検討段階の可能性がある)
・ホワイトペーパーをダウンロードした人(業界の課題に関心があり、解決策を探している段階)
こうした顧客はすでに一定の興味を持っているため、比較的商談化率が高いのが特徴です。しかし、だからといって単純に営業をかければいいわけではありません。Pull型の成功のカギは、顧客の課題を正確にヒアリングし、適切なタイミングで価値を提供することにあります。
Push型(アウトバウンド型)
Push型インサイドセールスは、自社に関心を持っていない潜在顧客に対し、電話やメールでアプローチし、興味を引き出す営業手法です。積極的に市場を開拓する営業スタイルともいえます。
テレアポと混同されがちですが、Push型は単なる「数打ちゃ当たる」営業ではありません。データ分析や市場調査をもとにターゲットを選定し、適切な切り口でアプローチするのが特徴です。
Push型では、データ分析を活用し、以下のようにターゲットを選定します。
・SFA/CRMを活用し、過去の取引履歴や業界・企業規模を分析し、受注実績のある企業と類似したターゲットを特定
・市場調査を行い、業界動向や法改正など、顧客の関心が高まりそうなトピックをもとに仮説を立案
・フィールドセールスと協力し、成長が期待される業界を重点的に狙う
Push型の最大のメリットは、「まだ自社を知らない顧客」にリーチできることです。商談化には時間がかかるものの、適切なアプローチをすれば新たなビジネスチャンスを創出できます。
Push型(アウトバウンド型)
Push型インサイドセールスは、自社に関心を持っていない潜在顧客に対し、電話やメールでアプローチし、興味を引き出す営業手法です。積極的に市場を開拓する営業スタイルともいえます。
テレアポと混同されがちですが、Push型は単なる「数打ちゃ当たる」営業ではありません。データ分析や市場調査をもとにターゲットを選定し、適切な切り口でアプローチするのが特徴です。
Push型では、データ分析を活用し、以下のようにターゲットを選定します。
・SFA/CRMを活用し、過去の取引履歴や業界・企業規模を分析し、受注実績のある企業と類似したターゲットを特定
・市場調査を行い、業界動向や法改正など、顧客の関心が高まりそうなトピックをもとに仮説を立案
・フィールドセールスと協力し、成長が期待される業界を重点的に狙う
Push型の最大のメリットは、「まだ自社を知らない顧客」にリーチできることです。商談化には時間がかかるものの、適切なアプローチをすれば新たなビジネスチャンスを創出できます。
インサイドセールスとフィールドセールス・テレアポとの違い
インサイドセールスは、非対面営業という点でテレアポに似ていますが、目的や手法は大きく異なります。また、商談創出の役割としてフィールドセールスとも密接に連携します。以下では、それぞれの違いを詳しく解説します。
フィールドセールスとの違い
フィールドセールスは対面商談を中心に、契約のクロージングを担います。最終フェーズを担当し、1社ごとに深い関係を築くことが求められます。
一方、インサイドセールスは非対面で見込み顧客を育成し、商談機会を創出する役割です。電話やメール、Web会議ツールを活用し、顧客の課題をヒアリングしながら購買意欲を高め、適切なタイミングでフィールドセールスへ引き継ぎます。
つまり、フィールドセールスが契約を決めるなら、インサイドセールスはその前工程を担います。
営業の効率化には、インサイドセールスとフィールドセールスの連携が不可欠です。
インサイドセールスが商談化の可能性が高い顧客を見極めて引き継ぐことで、無駄な商談を減らし、クロージングの成功率を高められます。インサイドセールスが機能しなければ、フィールドセールスは確度の低いリードにも対応しなければならず、営業効率が低下するでしょう。
そのため、役割を分担し、強固な連携を築くことが重要です。
テレアポとの違い
テレアポは、リストにもとづき電話をかけ、短期間でアポイントを獲得する営業手法です。架電数を重視し、できるだけ多くのリードに接触することが求められます。
一方、インサイドセールスは、アポ獲得だけでなく、中長期的な関係構築を重視します。電話だけでなく、メールやチャット、Web会議ツールを活用し、顧客の課題をヒアリングしながら最適なタイミングで商談へとつなげるのが特徴です。
テレアポはスクリプトに沿って架電するのが主な業務ですが、インサイドセールスはデータを活用し、戦略的にアプローチします。たとえば、CRMを活用して顧客の行動履歴を分析し、商談につながる可能性が高いリードを見極め、最適なタイミングで接触することで、アポイントの質を向上させます。
インサイドセールスを導入することで、数を打つ営業から脱却し、効率的に商談を創出できます。
特にSaaS業界やDX推進企業では、マーケティングが獲得したリードをインサイドセールスが精査し、確度の高いリードのみをフィールドセールスに引き継ぐ分業体制が主流になっています。この仕組みにより、フィールドセールスの負担を減らし、商談の成約率を高めることが可能になります。
近年のインサイドセールス市場動向と成長背景
日本では長年「営業=訪問」という文化が根強くありましたが、DXの推進とSaaSの普及により、営業スタイルが大きく変わりつつあります。
特に、インサイドセールスは注目を集める職種の一つとなっており、今後ますます市場価値が高まるでしょう。実際に、インサイドセールスソフトウェア市場は2032年までに年平均5.00%で成長すると予測(※1)されているほどです。
従来の「営業は対面が基本」という考え方が変わり、欧米ではインサイドセールスとフィールドセールスが明確に役割分担されています。商談前の育成フェーズをインサイドセールスが担当し、クロージングをフィールドセールスが行うことで、商談の確度が向上し、営業の効率が大幅に改善されます。
このように欧米ではインサイドセールスが確立されていますが、日本ではまだ発展途上の段階です。多くの企業が「導入したいが、やり方がわからない」という課題を抱えており、今インサイドセールスの知識やスキルを習得すれば、市場価値の高い人材になれる可能性があります。
また、日本では営業リソース不足が深刻化しており、訪問営業だけでは新規開拓が難しくなっています。少子高齢化が進むなかで、少ない人数で最大の成果を出せる営業手法として、インサイドセールスの導入が求められています。
さらに、リモートワークの普及により、物理的な訪問が難しい企業でも全国の顧客にアプローチできるため、インサイドセールスの優位性は今後さらに高まるでしょう。
※1 出典:Pando「インサイドセールスソフトウェア市場の成長、予測2025に2032」
インサイドセールスの具体的な業務内容
インサイドセールスの業務は、単に見込み顧客に電話をかけるだけではありません。見込み顧客の発掘から育成、商談設定、クロージング後のフォローアップまで、営業プロセス全体に関わる幅広い業務を担います。
ここでは、それぞれの業務内容を詳しく解説します。
リードクオリフィケーション
マーケティングが生み出したリードすべてが、すぐに商談化するわけではありません。多くは情報収集中や検討段階であり、購買意欲の高い顧客を選別するプロセスが「リードクオリフィケーション」です。
選別には「BANT(Budget:予算、Authority:決裁権、Needs:必要性、Timeline:導入時期)」を活用し、リードに予算があるか、決裁者とつながれるか、導入の必要性や検討スケジュールを整理します。
これにより、商談化の可能性が高いリードのみをフィールドセールスへ渡し、営業リソースを最適化できます。
リードナーチャリング
今すぐ導入を決められないが、将来的に可能性のあるリードは重要な資産です。ここで終わらせず、顧客の課題を深掘りし、関心を維持しなければいけません。
具体的な施策としては、業界の最新トレンドを紹介するホワイトペーパーの提供、無料ウェビナーへの招待、定期的なフォローアップが挙げられます。
これらの施策により、顧客が情報収集フェーズから検討フェーズへ移行するタイミングを逃さず、最適なタイミングで商談へとつなげられます。
商談設定とフォローアップ
商談の確度を高めるためには、単に日程を調整するだけでなく、事前情報の共有が欠かせません。顧客の課題、これまでのやり取り、競合との比較ポイントをフィールドセールスに渡すことで、より精度の高い商談が実現します。
また、商談後のフォローアップも重要です。「商談の内容に不明点はないか?」「導入スケジュールの検討状況は?」といった確認を行い、受注の確度をさらに高めます。
CRMツールを活用したデータ管理
インサイドセールスの強みは、データを活用して戦略的に営業を進められることです。
CRMツールを活用し、過去の資料ダウンロード履歴、Webサイト訪問回数、最後の接触内容を記録・分析することで、「今、誰に、どのようなアプローチをすべきか」を明確にできます。
適切なデータ管理を行うことで、営業のムダをなくし、より精度の高いアプローチが可能になります。
他部署との連携
インサイドセールスは、単独で成果を上げるのではなく、マーケティングやフィールドセールスと連携し、営業全体の成果を最大化する役割を担います。
マーケティング部門とは「どのリードが商談化しやすいか」を共有し、より精度の高い施策を展開します。フィールドセールスとは「どの商談が成功しているか」を分析し、アプローチ方法の改善につなげることで、より高確度な商談を創出できます。
既存顧客のフォロー
インサイドセールスの役割は、新規顧客の獲得だけではありません。契約後のフォローを強化し、アップセル・クロスセルの機会を創出しましょう。
「導入後の使い勝手はいかがですか?」「○○業界での最新トレンドに関心はありますか?」といったフォローを継続的に行い、顧客満足度を高め、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指します。
資料作成
インサイドセールスは、単なる電話やメール対応にとどまりません。
顧客の課題を分析し、営業の武器となる情報を提供することが重要な役割です。その中でも重要なのが、資料作成です。
営業資料の質が商談の成否を左右することも少なくありません。内容の薄い資料では、顧客の関心は引けないでしょう。しかし、「過去の商談データ」「業界トレンド」「競合比較」「顧客の具体的な課題」などを網羅し、的確な提案を行う資料があれば、成約率の向上につながります。
インサイドセールスは、営業チームを支える司令塔の役割を担います。単にアポイントを取るだけでなく、「この顧客は○○の課題を抱え、競合の△△と比較検討中。過去のヒアリングでは××に関心を示していたため、商談ではこの点を重点的に説明してください」といった、精度の高い情報を提供することが求められます。
資料作成の精度が低いと、営業全体の成果に影響を与えます。一方、データに基づいた精度の高い資料を作成すれば、営業効率が大幅に高まるでしょう。つまり、資料作成は単なる補助業務ではなく、営業戦略の中核を担う重要な仕事なのです。
トークスクリプトの作成
営業の会話には、よくある質問や顧客が反応しやすい訴求ポイントがあります。しかし、各営業担当者が独自のアプローチをすると、成果にばらつきが生じます。そこで、最も効果の高いトークパターンやノウハウを体系化し、誰でも一定の成果を出せる仕組みを構築する必要があります。
たとえば、「この業界の顧客は最初に価格の話をすると引かれやすい」「競合と比較された場合は、先にデメリットを認めてから強みを伝えたほうが受注率が高い」といったデータがあれば、それをもとにスクリプトを最適化できます。
過去の商談データを分析し、成功パターンを再現可能な形に落とし込むことが、インサイドセールスの役割です。
インサイドセールスの1日の業務の流れ
インサイドセールスは電話をかけ続ける仕事だと思われがちですが、実際にはデータを活用し、戦略的に商談を生み出す役割を担っています。
ここでは、インサイドセールス担当者の典型的な1日を紹介し、業務内容を具体的に解説します。
朝の業務(KPI確認・チームミーティング)
インサイドセールスの1日は、前日までの成果を確認し、戦略の調整をすることから始まります。
まずはCRMやSFAなどを開き、昨日の架電数、アポイント取得数、メール開封率などのKPIを分析し、効果的なアプローチを把握します。この時点で「昨日は10件アポが取れたけど、Webセミナー経由のリードの成約率が高かった」といったインサイトを得られれば、今日のアプローチをより効果的に設計することが可能です。
その後、チームミーティングを実施し、前日の振り返りや成功事例の共有、当日の戦略を話し合います。マーケティング部門やフィールドセールスとも情報を交換し、リードの状況や進捗をすり合わせます。
リードリストの整理と優先度設定
次に、アプローチ対象となるリードリストを整理します。
ここが営業の質を決める最重要フェーズのひとつです。「誰に、どのタイミングで、どんなアプローチをするか?」 これを適切に設計しなければ、営業の成功率は大幅に低下するでしょう。
MAツールやCRMを活用し、直近でWebサイトを訪問した顧客や資料請求を行ったリードを優先的に抽出します。「このリードは過去1週間でホワイトペーパーをダウンロードし、メールも開封している。関心度が高いはずだから、今アプローチすれば商談化しやすい」といった分析を行うのです。
ここでのリード選定が甘ければ、「せっかく電話したのに全然興味を持ってもらえなかった」という結果になりかねません。
アウトバウンド/インバウンド対応
午前中は、Pull型とPush型のアプローチを並行して実施します。
Pull型では、自社に関心を持つリードに対し、適切なタイミングでアプローチします。
「昨日資料請求をされた○○様ですね。お問い合わせいただき、ありがとうございます。現在、導入をご検討中でしょうか、それとも情報収集の段階でしょうか?」とヒアリングを行い、関係を深めていきます。
この段階で商談を急ぐと、顧客が慎重になり、関係が途切れる可能性があるため注意が必要です。
Push型では、ターゲットリストをもとに、接点のない顧客に初回アプローチを行います。
「○○業界では△△の課題が増えていますが、貴社でも同様のお悩みはございますか?」と仮説を立てたトークで興味を引きます。単なる商品の売り込みでは、顧客の関心を引くことは難しいため、相手の課題を引き出し、解決策として自社のサービスを提案するアプローチが求められます。
商談フォローアップ・クロージング準備
午後は、フィールドセールスへの商談引き渡し後のフォローアップや、次回商談の準備を行います。
まずは、商談後のフォローアップです。「本日の商談はいかがでしたか? 追加で気になる点やご不明な点はございますか?」といったフォローアップを行い、顧客の反応を確認します。適切なフォローにより、顧客に対し「この会社は自社の課題を理解し、継続的に支援してくれる」という信頼感を与えられます。
次に、次回商談に向けた資料作成を行います。顧客の課題や過去のやり取りをもとに、商談用の提案資料を最適化します。「同業他社では、このような課題を解決した実績があります」と具体的な事例を提示することで、商談の成功率を高めることが可能です。
振り返りと改善施策の検討
業務の最後には、1日の活動を振り返ります。
CRMを活用し、架電数、アポイント取得数、メール開封率、顧客の反応を分析します。ターゲット層ごとの反応やトークの効果を分析し、翌日の戦略に反映させます。
成果が伸び悩んだ場合は、トークスクリプトやアプローチ対象を見直し、改善策を検討しましょう。常に「最も効果的なアプローチは何か」を検証し、改善を重ねることが重要です。
インサイドセールスに必要なスキルと適性
インサイドセールスで成果を出すためには、単に架電やメール送信をこなすだけでは不十分です。顧客のニーズを的確に捉え、信頼関係を構築するためには、複数のスキルや能力が求められます。
以下では、インサイドセールスに必要なスキルと適性を見ていきましょう。
コミュニケーション能力(電話・メール・チャット対応)
インサイドセールスは、非対面で営業活動を行います。そのため、言葉のみで信頼を得る高いコミュニケーション能力が必要です。
電話対応では、相手の声のトーンや言葉の選び方から関心度を読み取り、適切に対応するスキルが求められます。自社サービスへの関心が高いのか、比較検討中なのか、情報収集段階なのかを正確に把握することが重要です。
また、メールやチャットでの対応力も欠かせません。
非対面のやり取りでは、文章だけで意図を明確に伝える能力が大切です。メールでは「件名」「冒頭の一文」「締めの一言」が反応率に大きく影響します。件名が魅力的でなければ開封されず、冒頭の一文が関心を引かなければ本文を読まれず、適切なCTAがなければ次のアクションにつながりません。
つまり、インサイドセールスには、話し上手であるだけでなく、相手の状況を的確に判断し、最適な伝え方を選ぶ力が求められます。
ヒアリング力と課題解決力
営業の本質は、単なる売り込みではなく、顧客の課題を引き出し、最適な解決策を提示することにあります。インサイドセールスにおいては、特にヒアリング力が求められます。
顧客が自ら課題を具体的に説明することは少ないため、深掘りが必要です。「なぜ」「どうして」「どのように」といった質問を重ね、課題の本質を明確にする力が必要です。
たとえば、顧客が「業務の効率化を考えている」と述べた場合、さらに具体的な課題を明らかにする必要があります。
・具体的にどの業務が非効率なのでしょうか?
・その影響はどのようなものがありますか?
・これまでに改善を試みたことはありますか?
このように質問を重ねることで、顧客自身も気づいていないような、潜在的な課題を引き出せます。
課題が明確になった後は、一方的な提案ではなく、顧客の状況に応じた最適な解決策を提示することが重要です。
データ活用・分析スキル
インサイドセールスの最大の特徴は、データを活用して営業を最適化できる点でしょう。CRMやMAを活用し、リードの行動データを分析することで、最適なアプローチを設計できます。
具体的には、以下のようなデータを活用します。
・ホワイトペーパーをダウンロードしたリードは、3日以内にフォローすると商談化率が高い
・Webセミナー参加者のうち、アンケートで「関心がある」と回答した人の成約率は20%
・メールを3回開封しているリードは、電話アプローチの成功率が50%
このようなデータを蓄積・分析することで、「今、誰に、どのようにアプローチすべきか」を明確にできます。
インサイドセールスは、単なる架電業務ではなく、データを活用し、戦略的に営業を設計する役割を担うのです。
フィールドセールスとの連携力
インサイドセールスの役割は、商談の可能性が高い顧客を選別し、適切にフィールドセールスへ引き渡すことです。そのため、引き継ぎの質が成約率に直結します。
単に「アポイントが取れました」と伝えるだけではどうなるでしょうか?
フィールドセールスは、顧客の関心や競合比較状況、抱える課題が不明なまま商談に臨むことになります。結果、商談がスムーズに進まず、成約率の低下を招くでしょう。
そのため、顧客の課題、これまでのやり取り、商談で押さえるべきポイントを明確に伝えることが重要です。インサイドセールスからフィールドセールスへの引き継ぎメモは、以下のように整理すると効果的です。
・リード情報:○○社 △△様(マーケティング担当)
・課題:リード獲得に課題を感じているが、現状はオフライン施策が中心で、オンライン施策の知見が少ない
・競合:現在△△社のサービスと比較検討中
・商談のポイント:「オンライン施策の成功事例」を具体的に紹介すると関心が高まりそう
このレベル感で情報を整理すれば、フィールドセールスは商談に集中でき、成約率の向上につながります。
インサイドセールス業務でよくある課題と解決策
ここでは、インサイドセールスがよく直面する4つの課題とその解決策をご紹介します。
アポイントが取れない
インサイドセールスでは「アポイント取得数」がKPIとして重視されますが、単に架電数を増やすだけでは成果につながりません。
成果を上げるには、「ターゲット精度 × トークの質 × 最適なタイミング」の最適化が不可欠です。
まずはターゲット精度を向上させます。MAツールやCRMを活用し、リードの行動データを分析しましょう。たとえば、ホワイトペーパーをダウンロードしたリードのアポイント率が高く、メルマガ購読のみのリードは低いといった傾向を把握し、優先順位をつけます。
次に、トークスクリプトを改善します。顧客の関心を引くフレーズや業界特有の課題、競合との差別化要素を盛り込み、実際の成果データをもとにブラッシュアップすることが重要です。
最後に、アプローチのタイミングを最適化します。メール開封後30分以内の架電が最も商談化率が高いといったデータを活用し、適切なタイミングでアプローチすることが成功の鍵となります。
円滑な情報共有ができない
インサイドセールスがリードを獲得し、フィールドセールスへ引き継ぐ流れが円滑でなければ、商談の機会を逃してしまいます。しかし、顧客情報の共有不足や連携ミスにより、商談で同じ話を繰り返してしまう問題は、多くの企業で発生しています。
この課題を解決するには、情報共有の仕組み化とフィードバックの徹底が重要です。
まず、CRMやSFAを活用し、情報を一元管理しましょう。顧客とのやり取り、過去のメール履歴、関心の高い商材を詳細に記録し、フィールドセールスがスムーズに商談を進められる環境を整えることが重要です。
さらに、定例ミーティングを実施し、インサイドセールスとフィールドセールスの間で「商談化しやすいリードの特徴」を分析し、戦略を共有します。「このタイプのリードは商談化率が高い」「この業界の顧客は〇〇の話に関心を持ちやすい」といったデータを共有することで、両部門の連携が強化されます。
毎日の架電やメール対応で業務が回らない
単にリードリストを回し、大量のメールを送るだけでは、業務負担が増える一方で、商談化率の向上にはつながりません。インサイドセールスの本質は、単なる作業ではなく、「最適な顧客に、最適なタイミングで、最適なアプローチを行うこと」にあります。
そこで業務の自動化とタスクの優先順位付けを行いましょう。
MAツールを活用すれば、リードの行動履歴にもとづいたメール送信の自動化が可能です。「Webセミナー参加リードには翌日にフォローアップメールを送る」「3回以上メールを開封したリードを架電リストに自動追加する」といった仕組みを導入することで、手作業を削減し、より戦略的な業務に集中できます。
加えて、タスクの優先順位を明確にすることも重要です。「商談化しやすいリードを優先する」という基本ルールを徹底し、単なる架電数の増加を目的とした無駄な電話は極力削減すべきです。
モチベーションの維持が難しい
インサイドセールスは、成果が即座に可視化されにくい職種です。
フィールドセールスと異なり、直接成約に関わらないため、「自分の業務が成果に結びついているのか」という実感を持ちにくい傾向があります。その結果、業務の成果が実感できず、モチベーションが低下することがあります。
この課題を解決するには、短期的に創出できるKPIの設定と成果の可視化が有効です。
KPIを「アポイント数」のみに設定すると、結果が出ない時にモチベーションが低下しやすくなります。そのため、「商談化率」「メール開封率」「リードの反応率」など、プロセス指標をKPIに設定することで、日々の業務成果を実感しやすくなります。
加えて、チーム内で成功事例を共有することも有効です。たとえば、「このトークでアポイント獲得率が向上した」「このメールの書き方で返信率が上がった」といった事例を共有することで、営業の手応えを感じやすくなります。
さらに、定期的な1on1ミーティングを実施し、個々のメンバーの悩みや課題を把握することも重要です。インサイドセールスは、個人の努力だけでなく、チームのサポートが不可欠な業務です。そのため、モチベーションの維持も、チーム全体で取り組むべき課題の一つです。
インサイドセールスに向いている人・向いていない人
インサイドセールスには、従来の営業とは異なるスキルセットが求められます。では、インサイドセールスに向いている人の特徴とは? 一方で、適性が低いのはどのようなタイプの人でしょうか?
以下で詳しく見ていきましょう。
向いている人
インサイドセールスに向いているのは、論理的思考を持ち、言葉だけで意図を明確に伝えられる人です。対面営業と異なり、身振りや表情が使えないため、顧客の関心や不安を察知し、的確に伝えるスキルが求められます。
また、データを活用し、戦略的に営業を設計できる人も適性があります。CRMやMAを活用し、顧客の行動履歴を分析して最適なタイミングでアプローチすることが成果につながります。
さらに、顧客と長期的な関係を築くのが得意な人にもおすすめです。単発の商談ではなく、適切なフォローを重ねることで購買意欲を高め、最適なタイミングで商談につなげる役割を担います。
営業経験者にとっては、インサイドセールスはキャリアアップの機会にもなります。より効率的でデータドリブンな営業を志向する人にとって、理にかなった選択肢となるでしょう。
向いていない人
インサイドセールスに向いていないのは、対面営業に強いこだわりがある人や、勢いだけで営業をする人です。
訪問せずに電話やオンライン商談で関係を築く仕事のため、「足で稼ぐ」営業スタイルを好む人には向かないかもしれません。また、飛び込み営業やテレアポのように「数をこなせば成果が出る」わけではなく、ターゲットを選び、適切なタイミングで最適なメッセージを伝える戦略的なアプローチが求められます。
さらに、チームワークが苦手な人も適性が低いかもしれません。インサイドセールスはマーケティングやフィールドセールスと連携しながら成果を最大化する仕事です。個人プレーを好み、他部署と連携するのを面倒に感じる人には不向きでしょう。
インサイドセールスのキャリアパス
インサイドセールスは、営業だけでなくマーケティングやデータ分析、戦略設計のスキルを習得できる職種です。そのため、ここで得た経験を活かし、多様なキャリアパスを描くことが可能になります。
社内でのキャリアパス
インサイドセールスで成果を上げた人は、マネージャーやチームリーダーへの昇格が期待できます。
インサイドセールスは、単にアポイントを獲得するだけでなく、商談の質を高め、営業プロセスを最適化する戦略部隊です。そのため、KPIの管理やプロセス改善、フィールドセールスとの連携強化など、より戦略的な視点が求められるポジションへとステップアップできます。
特に、チームリーダーやマネージャーは、単なる営業成果だけでなく、チーム全体のパフォーマンス向上を担う役割になります。メンバーの育成、成功パターンの共有、営業戦略の設計など、よりマネジメントスキルが求められるため、データを活用しながら営業プロセスを最適化できる人材が重宝されるでしょう。
マーケティングやカスタマーサクセスへの転向
インサイドセールスは、マーケティング部門が獲得したリードを商談につなげる役割を担っているため、マーケティング施策の効果を現場で実感できるポジションです。
「どの施策が商談につながりやすいか」「どのリードが受注率が高いか」などの知見を持つことができます。この知識を活かし、リード獲得戦略やコンテンツマーケティング、MAを活用した施策立案などに関わることが可能になります。
カスタマーサクセスは、契約後の顧客と長期的な関係を築き、サービスの定着や活用促進、アップセル・クロスセルを推進する役割を担う部署です。
インサイドセールスで培った「顧客の課題を深掘りし、適切な情報提供をするスキル」や「継続的なフォローを行う能力」は、カスタマーサクセス業務と非常に親和性が高いです。
特に、SaaSなどのサブスクリプション型ビジネスでは、契約後の顧客との関係構築が重要になるため、インサイドセールスの経験を活かせる場面が多くあります。
インサイドセールスの転職市場
インサイドセールスの市場は急速に拡大しており、2025年には8割以上の企業が営業・マーケティング職の採用を強化し、そのうち3割以上がインサイドセールスの採用に注力すると予測されています。
特に、SaaS業界やBtoB企業では、インサイドセールスの導入が進んでおり、未経験者でもチャレンジできる求人が増加しています。営業経験者であれば即戦力としての採用が期待できるだけでなく、マーケティングやカスタマーサクセスなどの他職種へのキャリアパスも広がります。
また、リモートワークの普及により、働き方の自由度が高い点もインサイドセールスの魅力です。全国どこからでも顧客と接点を持ち、効率的に商談を創出できるため、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を求める人にも適した職種です。
このように、インサイドセールスは今後ますます市場価値が高まる分野です。営業経験を活かしてキャリアアップを目指す人、新しい働き方に挑戦したい人にとって、今がまさに最適なタイミングと言えるでしょう。
営業スキルを武器にインサイドセールスで市場価値を高める転職を!
DXやSaaSの拡大に伴い、インサイドセールスの重要性が高まっています。非対面で効率的に商談機会を創出するこの職種は、営業スキルを活かしてキャリアアップを目指す人にとって大きなチャンスとなるでしょう。
市場の需要は右肩上がりで、特にSaaS業界ではインサイドセールス部門の強化が進み、未経験者でも挑戦しやすい環境が整っています。CRMやMAを活用したデータドリブンな営業が求められ、従来の営業とは異なるスキルが身につくため、マーケティングやカスタマーサクセスなど幅広いキャリアパスが開かれています。
今後も市場の成長は続き、営業の主流になっていくでしょう。自身の市場価値を高め、営業経験を次のステップにつなげたいなら、今こそインサイドセールスへの転職を検討するおすすめのタイミングです。
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