2024年12月9日公開
最終更新日:2024年12月9日
投稿者:9Eキャリアインサイドセールス編集部

インサイドセールスとマーケティングの違いを解説! 共通点や連携のポイントとは?

企業が行う営業プロセスの種類に、「インサイドセールス」と「マーケティング」があります。インサイドセールスとマーケティングは共通点がある一方で、明確な違いも存在します。両者の違いを正しく認識した上で営業活動を進めることで、商談化や受注率の向上が見込めるでしょう。

 

この記事では、インサイドセールスとマーケティングの違いや連携のポイントを解説します。

 

インサイドセールスとマーケティングの定義

向き合う人々のシルエットと本棚

インサイドセールスとマーケティングの違いを正しく理解するために、まずはそれぞれの定義から紹介します。

 

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、電話やメール、Web会議システムなどの手段で見込み客(リード)と接する営業方法です。担当者はオフィス内で見込み客へ対応するため、フィールドセールスのように客先へ直接訪問する機会はありません。オンラインツールにより遠方のクライアントとも接点を持てることから、従来の営業方法と比較して多くのクライアントへアプローチできます。インサイドセールスの主な役割は、見込み客の育成です。オンライン上でのコミュニケーションを通して、見込み客の検討度合いを高めます。

 

▼インサイドセールスの概念、基本的な考え方や活動内容についてはこちらの記事で総合的に解説しています。

「インサイドセールス」って何? 定義や役割、職種の特徴や他の営業職との違い、将来性などまとめて解説!

 

マーケティングとは

マーケティングとは、市場調査や顧客の分析を行い、商品・サービスを売るための仕組みを作る総合的な活動です。統計やアンケート、インタビューといったデータを解析して、定量的・定性的な観点から市場を徹底的に調べます。調査結果をもとに、「どのような製品・サービスを誰にいくらで提供するのか」のマーケティング戦略を決定します。マーケティングの主な役割は新規見込みの獲得・育成です。新規見込み客との接点を持つため、自社製品・サービスの認知を広げるべく活動します。

 

インサイドセールスとマーケティングの共通点

ベン図が描かれた小さいボード

インサイドセールスとマーケティングの仕事は近い領域を扱うため、大きく分けて2つの共通点が存在します。

 

1.どちらも営業活動に含まれるプロセス

インサイドセールスとマーケティングは、どちらも営業活動の一環として実施します。営業プロセスを4つに分業する「The Model(ザ・モデル)」の考えでは、以下の流れで営業活動を進めます。

 

1.マーケティング(リード獲得・育成)

2.インサイドセールス(リード育成・商談化)

3.フィールドセールス(商談・契約)

4.カスタマーサクセス(成約後の顧客支援・利益拡大)

 

営業プロセスを4つの組織にすることで、各領域の専門性および効率の向上が可能です。なお、企業によって、部門ごとのこまかな役割は異なります。たとえば、オンラインツールの活用が進んでいる会社であれば、インサイドセールスが商談や成約までまとめて行う場合があります。

 

2.最終目標は受注率の向上

インサイドセールスとマーケティングの最終的な目標は、どちらも受注率の向上です。双方ともに受注率を上げるべく、見込み客と接点を持って異なるアプローチをしています。マーケティングは顧客を創出するための環境作りからはじめ、市場から新たな見込み客を獲得します。一方のインサイドセールスはマーケティングが獲得した見込み客を育て、商談の機会を作り出すわけです。インサイドセールスとマーケティングは、受注率を伸ばすために欠かせない存在と言えます。

 

▼インサイドセールスとフィールドセールスの違いや関係性については、こちらの記事で詳しく解説しています。

インサイドセールスとフィールドセールスの違いとは? それぞれの役割や分業のメリット・デメリット・ポイントを解説!

 

インサイドセールスとマーケティングの違い

付箋の上に浮かぶ3つのクエスチョンマーク

インサイドセールスとマーケティングは、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。代表的な違いを4つに分けて解説します。

 

1.ターゲットの違い

インサイドセールスとマーケティングは、営業活動のターゲットが違います。インサイドセールスの対象は、自社製品・サービスに一定の関心がある見込み客や既存顧客です。電話やメールなどのツールで顧客とコミュニケーションを取り、受注角度を高めていきます。マーケティングのターゲットは、多くの見込み客を含む市場全体です。市場に存在する見込み客の中には、自社製品・サービスにまだ関心のない潜在顧客も含まれます。市場全体に向けて情報を発信して、幅広いターゲットの中から見込み客を抽出します。

 

2.役割・領域の違い

インサイドセールスとマーケティングはどちらもリードナーチャリング(顧客育成)を行いますが、細かな役割と領域が異なります。インサイドセールスが担当する領域は、顧客の育成から商談の獲得までです。見込み客と信頼関係を築き、商談へとつなげます。マーケティングは新たなターゲットとの接点創出に重きを置いており、見込み客の獲得から育成までが担当領域です。市場への情報発信を通じて見込み客にアプローチし、自社製品・サービスへの関心を育てます。

 

3.業務内容の違い

インサイドセールスの業務内容は、内勤での営業活動がメインです。電話・メール・SNS・チャットなどのツールを活用し、顧客1人ひとりと深い関係性を築き上げます。スムーズな営業活動のため、「トークスクリプト」の作成も行います。トークスクリプトとは、特定のシーンごとに営業トークの流れをまとめて索引の目次を設けたマニュアルです。一方、マーケティングの業務内容は、幅広い見込み客を対象としたコンテンツの制作と発信が中心です。ブランディング・SEO・メールマガジン・広告・セミナー・導入事例などのホワイトペーパー・SNSといった手段でターゲットへ認知を広げます。また、情報を発信するために市場分析や商材の企画・改善も担当します。

 

4.求められるスキルの違い

インサイドとマーケティングはデータ収集と分析の高い能力が必要ですが、細かな部分に違いがあります。インサイドセールスは顧客と直接関わるため、優れた対人能力が求められます。コミュニケーション能力やヒアリング力に加えて、自社商材への深い知識も必要です。マーケティングの場合、市場を分析し企画を立てるための論理的思考力が重視されます。高度な企画力やプレゼンテーション力があれば、効果的なマーケティング施策の提案と実行が可能です。

 

インサイドセールスとマーケティングが連携するべき理由

Did you know?と書かれた黒板と積み上げられた本

インサイドセールスとマーケティングは、受注率アップを目標としています。共通する最終目標を達成するためには、双方の強固な連携が不可欠です。なぜ連携を強化するべきなのか、次の3つの理由を見ていきましょう。

 

1.商談化率を上昇できる

インサイドセールスとマーケティングが連携すると、商談化率の上昇が見込めます。マーケティングの強みは徹底した市場調査にあり、的確な調査にもとづいて自社の製品・サービスとマッチするリードを獲得できます。マーケティングが受注確度の高いリードのみ抽出し、インサイドセールスへリードの情報を共有することで商談へとつなげやすくなるでしょう。また、インサイドセールスによる顧客育成の時間短縮も可能です。スピーディな商談化により、営業プロセス全体の効率化が期待できます。

 

2.マーケティングの精度を高められる

マーケティングの精度を高めるためには、インサイドセールスとの連携が効果的です。インサイドセールスは、営業活動を通して顧客からのフィードバックを直接得られます。顧客が感じている課題や要望をマーケティングに共有することで、効果的なマーケティング施策の改善や新規企画の立案が可能です。ターゲット像のさらなる具体化にも役立ち、作成・発信するコンテンツの訴求力を高められます。ターゲットからの関心を引きやすくなることで、すばやいリード育成が可能です。

 

3.部門同士の対立を防げる

インサイドセールスとマーケティングの連携を強化すれば、部門同士の対立の防止や解決が期待できます。従来のマーケティング部門と営業部門(フィールドセールス)は、対立が起きやすい関係性と言えます。意思疎通が上手くいかず、「上げてくるリードの質が悪い」「せっかくリードを上げても受注してくれない」といった亀裂が生まれるケースは珍しくありません。インサイドセールスが両者の間に入ることで、マーケティングから得たリードの質を確認して自ら育成した上で営業部門へ引き渡せます。営業部門は確度が高いリードへセールスできるようになるため、対立の原因が生まれづらくなるでしょう。

 

インサイドセールスとマーケティングの連携不足による影響

デスクで頭を抱える人

インサイドセールスとマーケティングの連携は、商談化率の向上などのメリットが多数あります。反対に、両部門の連携が上手くいかない場合、以下5つの悪影響が生じるでしょう。

 

1.適切なリードを獲得できない

インサイドセールスとマーケティングの間で、求めるターゲット像にズレがあると、リードの質が低下しやすくなります。マーケティングがせっかくリードを獲得しても、インサイドセールスが想定している見込み客でないと適切なアプローチは難しいでしょう。事前に設計しているトークスクリプトが上手く機能せず、商談につなげづらくなります。結果的に、最終目標である受注率の向上を達成できません。

 

2.効果的なマーケティング施策を立てられない

インサイドセールスと連携できなければ、効果的なマーケティング施策を立てられません。インサイドセールスは顧客と関わる場面が多く、顧客の意見やニーズなどの貴重なデータを持っています。インサイドセールスとの関係が希薄な場合、顧客の要望や不満を把握していてもマーケティングに情報が共有されません。そのため、有効なマーケティング施策を打ち出せなくなり、新規リードの獲得が停滞するでしょう。リードの獲得数が減れば新規顧客との商談もなかなか生まれず、営業利益の低迷を招いてしまいます。

 

3.リードを育成できない

リード育成の手法やお互いの担当範囲をあらかじめ決めていないと、獲得したリードを適切に育成できません。インサイドセールスとマーケティングは、どちらもリードの育成を行います。マーケティングによる育成が不十分であれば、自社製品・サービスへの関心が高まっていないリードへむやみにセールスしてしまう可能性があります。あるいは、インサイドセールスへの引き継ぎが遅くなり、リードの受注確度が高いタイミングを逃してしまうかもしれません。リードを充分に育成し適切なタイミングで引き継ぐためには、部門同士の連携が不可欠です。

 

4.顧客へ一貫した対応ができない

インサイドセールスやマーケティングなど、営業プロセスを分業化すると顧客と関わる部門が増えます。各部門によって対応方針にばらつきが生まれる要因となるため、インサイドセールスとマーケティングは密に連携する必要があります。マーケティングからインサイドセールスへリードの情報を正確に伝達できなければ、次のフィールドセールスへも情報が伝わりません。顧客への対応方針に一貫性がなくなり、「担当者によって説明内容が違う」と不信感を抱かれてしまうでしょう。顧客との信頼関係の構築が難しくなれば、商談の創出や成約は困難になります。

 

5.インサイドセールスが対応しきれなくなる

マーケティングときちんと連携できていない場合、インサイドセールスの対応キャパシティを超える可能性があります。前述の通り、お互いのターゲット像にズレがあると、マーケティングは受注確度が低いリードをインサイドセールスへ引き渡してしまいます。質の低いリードであふれれば、受注確度の高いリードが埋もれてしまうでしょう。結果的に、インサイドセールスは膨大なリードの中から、購買の見込みがある顧客を選別する作業に多大な労力を割かざるを得なくなります。インサイドセールスが本来すべきリードとのコミュニケーションが疎かになり、多くの商談のチャンスを失うでしょう。

 

インサイドセールスとマーケティングが連携する際のポイント

青いグラフと指差す手

適切なリード育成や一貫した対応を実現するため、インサイドセールスとマーケティングの連携が重要です。インサイドセールスとマーケティングを連携させる際は、次の5つのポイントを参考にしてみてください。

 

1.共通目標を決定する

インサイドセールスとマーケティングが個別の目標を設定するのではなく、営業プロセス全体の共通目標としてKPI(重要業績評価指標)を決定しましょう。各部門がバラバラの目標を設けてしまうと、施策の一貫性が失われます。営業プロセスの中間的な指標となるKPIを部門同士で共有することで、インサイドセールスとマーケティングは同じ方向性に沿って業務を進められます。たとえば、「リード獲得数」「有効商談化率」「受注金額」といった指標がKPIに活用できます。KPIを決める際は、KGI(重要目標達成指標)から逆算して数値を決めましょう。KGI達成に必要な中間の数値をKPIに当てはめると、現実的な目標設定が可能です。

 

2.トスアップの条件を設定する

マーケティングからインサイドセールスへ見込み客を引き継ぐ「トスアップ」の条件を設定しましょう。やみくもなトスアップを防げれば、インサイドセールスの対応キャパシティを超える心配がありません。受注確度の高い見込み客へ対応を集中させられるため、商談の機会損失も回避できます。注意点として、トスアップの条件を「セミナーに参加した」「資料請求した」といった単純な項目のみに設定するのは避けましょう。見込み客の行動に加えて、アンケートの回答などから購買の意思をスコアリングする必要があります。スコアの数値もトスアップの条件にして、点数の高い見込み客のみインサイドセールスへ引き継ぎます。

 

3.営業フローと役割分担を決める

同じ営業プロセスの一環であるため、インサイドセールスとマーケティングの役割は重なる部分があります。「どちらがどこまで実行するのか」と各部門の役割を明確に分担しておくと、見込み客の育成不足やホットリードへの対応遅れといったミスを防止できます。それぞれの役割を決める際は、はじめに営業フローを整理しましょう。営業の流れに沿ってお互いの役割を決めれば、担当業務の割り振りに漏れが生じません。また、営業活動を進めるうちに、新たなプロセスが生じる可能性があります。事前に各部門の役割が決まっていれば、新しい業務をどの部門が担当するかをスムーズにすり合わせられます。

 

4.お互いにフィードバックする

インサイドセールスとマーケティングがお互いにフィードバックすることで、リードの質を高められます。インサイドセールスは、商談化に進んだリードの属性や顧客からの要望を伝えましょう。 マーケティングは、市場やリード、マーケティング戦略の変化を共有します。お互いに細かな情報をフィードバックすることで、アプローチ方法やプロモーションの方向性を調整できます。さらに、KPIやターゲットの認識にズレがないかの確認も可能です。ズレがある場合、共有された情報をもとに軌道修正しましょう。 

 

5.ツールで情報共有を効率化する

インサイドセールスとマーケティングの連携には、ツールの活用がおすすめです。リードの基本情報や行動履歴を1つのシステムで一元管理すれば、リアルタイムなデータ共有が可能です。営業プロセスの情報管理には、以下3つのツールが広く利用されています。

 

 

ツール名

特徴

CRM(顧客関係管理)

顧客の個人情報や購買・行動・案件データの一元管理システム。メールなどの配信も可能

SFA(営業支援システム)

顧客情報や営業の進捗管理システム。営業メンバーの行動管理、売上の予測や管理にも対応

MA(マーケティングオートメーション)

マーケティング活動の自動化システム。顧客情報やスコアリング、コンテンツ、キャンペーン管理が可能

 

上記のようなツールを導入することで、重複営業や伝達漏れといったミスを防ぎやすくなります。KPIを達成できないなどの問題が生じても、データによる客観的な分析と改善が可能です。

 

インサイドセールスとマーケティングの注意点

PCのキーボードと、その上に乗っているCAUTIONと書かれた小さいコーン

インサイドセールスとマーケティングにおける2つの注意点を解説します。

 

1.企業によって関係や役割が異なる

インサイドセールスとマーケティングの関係や役割は、企業によって異なります。とりわけリードナーチャリングはどちらも行うため、企業ごとに細かな業務内容が違います。たとえば、マーケティングは新規リードの獲得のみ行い、リードの育成は担当しないというケースもあるでしょう。さらに、インサイドセールスを立ち上げたばかりの会社であれば、マーケティングがインサイドセールスを兼任している場合もあります。インサイドセールスやマーケティングの転職を検討している場合、転職先企業の業務内容を詳しく確認しましょう。

 

2.オンラインセールスは業務領域が広い

SaaSなどの商材を扱う会社では、オンラインセールスを導入しているケースが多く見られます。オンラインセールスとは、インターネットを介して商談やクロージングを進める営業方法です。Web会議システムなどのサービスを活用し、フィールドセールスが客先に出向いて行う作業をオンライン上で完結させます。オンラインセールスは、インサイドセールスと異なるポジションです。しかし、企業によってはインサイドセールスがオンラインセールスを兼任している場合があります。その場合、インサイドセールスがリード育成からクロージングまでの幅広い業務を担当する点に注意しましょう。

 

インサイドセールスとマーケティングは受注率の向上に必要な役割

インサイドセールスとマーケティングは、双方ともに営業活動に含まれる業務です。マーケティングは新規リードを獲得するために市場の調査や分析を行い、多くの見込み客に向けてアプローチします。コンテンツの作成・発信によりリードを育成して、インサイドセールスへトスアップします。

 

インサイドセールスの役割は、電話やメールによるリードの育成と商談の獲得です。どちらも受注率の向上を目的としており、営業活動の成果を挙げるために欠かせないポジションです。

 

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